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C 外岡先生の最後の結論の部分で、結局コソボでの空爆は何の解決にもなっていないとコメントされておられました。私は、この空爆に関しましては、ある意味でミロシェビッチを交渉テーブルに付かせたという意味では、目的そのものはそれで達せられているんじゃないか。つまり、空爆によって、ミロシェビッチを完膚なきまでに叩きのめすということが目的ではなくて、強制外交、コアシブ外交との同時並行の上での空爆だった。言うことを聞かなければ、空爆をもって聞かせますよ。ですから、交渉のテーブルに付いてください。そういった戦略的な目的のものだった。でありますから、コソボに関しましては、ミロシェビッチに軍を引かせるということを合意させる交渉のテーブルに付かせた時点で、この空爆自体は成功であると思います。

さらに、今回のコソボのオペレーションに関して評価を下すのだとしたら、KFORが今後、どういう形でピース・ビルディングを達成していくか。そこまで見た上での評価をしない限りは、一概にコソボで、結局、これは何の解決にもなっていないということは言い得ないと思います。

と言いますのは、1995年8月下旬からのボスニアでの大規模空爆、これは結局のところ、やはりセルビア勢力を叩きのめすことではなくて、戦闘している各勢力を交渉のテーブルに付かせるという目的で行われた大規模空爆であります。この空爆に関しましても、ムスリム、クロアチア、セルビアの各勢力を交渉のテーブルに付かせたということをもって、この空爆は成功であります。その後のピース・ビルディングであったIFOR(NATO平和執行部隊)、SFOR(NATO安定化部隊)、これも戦犯取り締まり、または現地でのUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の支援といった形で重要な貢献をしておりまして、全体的に成功と言われております。

ですから、このコソボに関しましても、何の解決にもなっていないと結論するのは、若干早いのではないかと思います。その点はどうでしょうか。

外岡 2番目のご指摘については、私もその通りだと思います。これは、これから先、5年、10年のこの地域の安定が達成されるかどうか。それを見てみないと、結論を出すことはできないと思います。それには、おっしゃったようにKFORがこれからどう機能するのか、その1点にかかっているだろうと思います。

一番最初のご質問で、今回の空爆の評価をめぐって、これは戦略目標に即してみると成功ではないかということだろうと思います。

 

 

 

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