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ボスニアの場合は、まず食糧援助を確保するために、その限定した範囲内で武力行使をしていい。それから、安全地域を設定して、それを守るための武力行使をしてもいい。

さらにソマリアで第2次ソマリア活動に入ったときに米軍主導になって、これはある意味で限定しない武力行使までできるというところまでいったわけです。これが失敗したというのは、何を指して成功・失敗というのか難しいと思いますが。ボスニアでは、ある意味で、NATO空爆によって、しかも何ら解決しなかったということ、それでも解決せずになおもコソボ紛争につながっているということ、それからソマリアでの活動が失敗したということです。それでアメリカが撤退した。しかも、それ以降、平和実施部隊は今に至るまでできていないわけです。

今、非常に限定的な形でのPKOしか派遣されていない状態になっています。一時は8万人を超えていたPKOが、今は2万ぐらい、KFORを入れると急に増えますけれども、非常に数が少なくなっているという情勢になっています。

それから、先程、Aさんがおっしゃった選挙監視とか武力行使をしないというのは、第1世代のPKOの中に兵力引き離しとか、軍事監視以外にも選挙監視とか、そういう役割は前からありました。ただ、選挙監視は比較的新しいわけです。どちらかと言うと、伝統的なPKOに属するものだろうと思います。

私が理解している範囲では、第2世代では武力行使をする。ガリさんが提唱して、挫折したその流れのことだと理解しています。それでよろしいでしょうか。

A どうもありがとうございます。

B 非常に短時間でコンパクトにまとめていただいたと思います。今の質問と若干関連しますが、ある面で、NATOの空爆は戦後の国連のあり様に対する挑戦である。逆に言えば、国連の限界が現れたとみていいと思います。そうなると、国連は改めて作り直す時期に来ているのかどうなのかです。逆に言うと、安保理の権限について、中国が反対するだろう。そういう前提の下に空爆に踏み切ったというのは、端的な捉え方だと思います。そうすると、中国を、つまり常任理事国の合意を抜きにしてできなかった今までのことは、今度はやったわけです。これは、国連憲章に対する違反であり、あるいは国連の限界だと見ていいと思います。これはどういうふうに捉えたらいいのか。本当にそうなのかということが1つ。

 

 

 

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