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3. 質疑応答

 

司会 外岡さん、ありがとうございました。どなたか、ご質問がございますでしょうか。

A 今、人道介入が流れとなりつつあるんじゃないかというお話だったんですけれども、今回のNATOが武力行使をこういうふうにすることができたというのは、1つには、EU(欧州連合)統合したばかりで、ヨーロッパの団結みたいなものをうたっているときのヨーロッパ内でこういうことが起こったから、できたのではないかということがあります。

同じくアジア、アフリカで、私は、特にアジアに関心を持っているんですけれども、同じような事態が起こった場合にも、そういう人道介入が本当に行われるのかどうかは疑問です。だから、人道介入が1つの流れとなっているのではないかというのは、ちょっと疑問を呈したいなということが1点。

後、もう1つ、PKOで第2世代のPKOが失敗なさったというお話でした。このPKOを何を持って世代分けするのか、人によって基準が違うのかもしれませんが、私の中では第2世代は、武力は行使しないけれども、停戦監視だけではなくて、工事をしたり、選挙の監視をしたりというものが第2世代というふうに理解しております。第3世代は、ボスニア・ヘルツェゴビナのときの、武力の行使も辞さないというPKOと考えています。今のPKOの失敗は、どういうものを指しておっしゃっていらっしゃったのか。

後、外岡さんが、アジアとヨーロッパのことを対照しながら考えておられるという、非常に興味深い考え方をなさっておられるようなので、お伺いしたいんです。今回のことが、北朝鮮に与えた影響、例えば、国連の安保理決議なしでも武力行使が行われたこととか、アメリカが圧倒的な軍事力を有していることが北朝鮮にどのような影響を与えたと思われているかということをお伺いできればいいのですが。以上です。

外岡 どうもありがとうございました。

最初に、人道介入が流れとなっているとは言えないのではないかというお話でした。私も、今回は、EU統合という大きな流れを抜きには考えられないことだろうと思います。というか、クロアチアとスロベニアの独立に始まる一種の解体現象が、ちょうど冷戦後でEU統合、あるいはNATOの東方拡大という流れに即した形で起きている現象です。今回も、NATOに3ヶ国、ハンガリーなんかが入った直後に空爆を行っているわけです。

 

 

 

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