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一応、ボスニアは内戦が終わるという形になりましたけれども、それが次にコソボに飛び火して、最も深刻な問題であるコソボに最後に火が付いてしまったというのが現状です。

簡単に話を締めくくらせていただきます。この後、現地の状況はどうかとか、皆さん、いろいろな観点から、いろいろなご関心をお持ちだと思います。それについては、後で答えさせていただきます。

結論ということでもないのですが、私なりに今考えている、今回のユーゴ空爆がもたらしたことの意味を申し上げたいと思います。1つは、人道介入か国家主権かという問題は、今後もいろんな形で引き続き問題になるでしょう。人道介入というときに、1つの基準で介入するかどうかを決められるのかという問題があると思います。

つまり、ルワンダでもソマリアでもエチオピアでも同じような問題が過去に起きているのです。そういう場合には、西欧あるいはアメリカは介入しようとしないわけです。そういうアフリカの状況とバルカンと、一体どこが違うのかという問いが突き付けられたときに、それについて何らかの選択の基準を示す必要があります。これ抜きには、選択的な介入、あるいは恣意的な介入と呼ばれても仕方がありません。国際ルール作りがどうしても必要になるだろうということが言えると思います。

第2に申し上げたいのは、1番目の問題と絡んでくるのですが、人道介入をする場合に、誰が判断するかということです。これは、NATOが自分で判断して、自己委任をするというやり方では、到底、これから先、国際社会を説得することはできないだろうと思います。その場合に、どうしても国連なり中立的な第三者がそれを認定しなくてはいけない。これは、国際の平和と安全については、国連の安保理だけが専権的に判断できると国連憲章が決めているわけですから、これを無視して、地域機関であるNATOが勝手に自己決定していいということは、本来であれば成り立たないはずです。ですから、これを決定する、あるいは調査するのは、あくまで国連なり第三者機関がやるべきではないかと思います。

3つ目は、かといって国連に対する批判、非難が出ているように、PKOが決議されてから展開するまで3ヶ月かかるという状況で、このままやっていっていいのか。この問題についてもきちっと解答を出すべきだろうと思います。

 

 

 

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