日本財団 図書館


あと抑止と安心の関係なんですが、ちょっと私も今日の午前中にこの問題について書きまくっていたんですけれども、安心を抱くか否かが抑止力を高めて軍拡競争を激化させててしまう危倶がある、という先ほどのご指摘がありましたが、そういった意味でそちらの関係というのはどうでしょうか。

それから最後に長島さんへの質問なんですが、最終的にこの安全保障戦略というのは具体的には何なのか私にはちょっと見えなかったんですけれども、長島さんの話からいくと、安全保障戦略というのは基本的には具体的に何を実現するか、それを設定した上で、それを実現するためのメソッドだと思うんですが、その具体的目標って何なのだろう。こちらの2番に書かれているのもあまり明瞭ではないですね。で、結局そこで出てくるのは、3番に書いてありますけれど、これはプロセスであって目標ではないし、結局そこで出てくるイシューとしては、マルチラテラルな問題をどうするのか。あるいは中国はどうするのか、韓国は、朝鮮半島はどうするのか、台湾海峡がどうなるのか、どうするのかという問題だと思うんですが、大体こういうものを具体的にどうすべきか。その上で最終的にどのようなアジア太平洋地域の安全保障秩序というのをつくっていくべきだと、長島さんご自身お考えなのか、お伺いしたいんですが。

長島 私は一言で言えば、日本は「グレートパワー」になるべきだと思っていますね。アメリカは「ソール・スーパーパワー」(唯一の超大国)ですね。世界には覇権国と、覇権に挑戦する国々と、覇権維持に協力する国々と大体三つに大別できると思うんですけれども、日本はやはり何としても覇権に協力する地位を占めるべきだと。それは覇権に協力する日本の地位のなかで、これはナショナルプライドの問題ももちろんあるんですけれど、いや責任論の問題としてこれだけの人的資源をもっている、経済的、技術的な潜在力をもっていて、日本が「いや、うちは経済だけですから、安保問題についてはちょっと」というわけには、もはやいかなくなっていると思うんです。

そういう意味でスーパーパワーを支えるグレートパワーとして、一つはEU諸国、そしてアジアにおいては恐らくアメリカが頼るべきは日本だと思います。そういう日本の位置づけの中で、何ができるかといったときに、僕はいろいろなメニューが出てくるんだろうと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION