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そして例えば朝鮮半島で有事になった。3万7000人のアメリカ軍が巻き込まれた。韓国軍もガタガタになった。もう戦闘で死傷した兵士がボディーバッグに入れられてどんどんアメリカに帰ってくる。こういう状況のなかで日本は何をしているのか。「ウエア・イズ・ジャパン」と言ったときに、「いや憲法第9条がありまして、直接わが国が侵略されるまでは、何もできないのでありまして、その場合でも必要最小限の範囲内で、・・・」などと言っていたら、恐らく日米関係はもたないだろうというふうに指摘する人が多いわけです。

C 私が以前アメリカに住んでいたときには、やはり日米安全保障条約についてはフリーライダーの議論がかなり言われていたんですが、今回ガイドラインが新しく整備されたことによって、そのフリーライダーの議論に多少なりとも変化をもたらしたということはありませんか。

長島 私は一般国民のなかでそういう感じはないと思います。そもそもガイドラインうんぬんの認識がないわけですから。ただ、さっき申し上げたエクスペクテーションの問題がありますから、例えばガイドラインについて三つに分けるとしたら、よく知っている人たち、それから全然関心のない人たち、それから、なんとなく「日本はガイドラインをつくったんだってね、いざというときこれまで以上に何かやってくれるみたいだよ、でも細かいことはよく分からない」と、こういう人たちが結構いると思うんですね。とくにエリートの中に。ヴァンダービルト大学教授で、レーガン政権のときに国防総省のジャパン・ディスクをやっていたジム・アワーという方がしばしば言うんですが、この中間層の人たちがもっている期待感というものに十分配慮しなければならない。つまり、同盟国ならばここまではやるだろうという線がある。今回ガイドラインで日本が決めたことは、たかだか後方支援ですからね。ガイドラインを決めて日本が同盟国としてアメリカと一緒に戦ってくれると思ったのに、さっき言ったようなシナリオで日本が何もできなかったとする、しかも日本はF15戦闘機などは200機も持っているらしいと。従って、こういう状況になると、よく分かっている人たちがワシントンで集中砲火を浴びて立ち往生してしまって、結局日本をディフェンドする人がいない、中間層の人々が一気に批判に回ってしまうという、これが一番の悲劇的シナリオだと思います。

司会 では、Dさん。

D 防衛研究所のDと申します。まず先ほどの話で、尖角のときの航空自衛隊の対処に関しては、南混団のレベルで決まったことではなくて、ちゃんと防衛庁長官からの命令で飛んでいます。「宮古島に援助機を飛ばせ」という命令だったので、ちょっと補足しておきます。

 

 

 

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