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司会 Cさん、どうぞ。

C 私フリーのジャーナリストをやっておりましてCと申しまして、主に経済とか安全保障の問題に興味をもっているんです。私ちょっと5分ぐらい遅れて来ましたので、もしかして最初のうちに話が終わっているかもしれませんが、いま日本には新しいガイドライン法案について、かなり国民的にも議論だとか興味が広がっている状況かと思うんですが、例えばアメリカではいわゆるトップの政治家レベルから、ストリート・レベルでの一般の国民レベルでその新しいガイドライン体制がどこまで認知されて、果たしてどのように捉えられているのか、アメリカの全体の中での世論のようなものをお聞かせいただけますか。

長島 一言で言って、ガイドラインの問題はアメリカではほとんど認識されていないです、基本的には。大体一般の国民が外交問題や安全保障問題でガイドラインのような二国間の条約でもない取り極めのレベルまで認識をしているということは、ほとんど考えられていません。私は、これは日本にとって強みでも弱みでもあると思うんです。一つは、強みというかこれは利用できるなと思うのは、日本が相手にすべき人たちというのは結構限られているんですね。実際に対日政策に影響を与えているのは、ワシントンにいる一握りの人々です。だから、例えば湾岸戦争のときに日本がすごく問題になったのは、本来日本の立場に立って議会を説得し、行政府のなかで発言していく人たちも、サジを投げてしまわざるを得ない状況をつくってしまったということです。私は、日米関係をマネージしていく上で一番ポイントになるのは、そういう人たちに「日本批判派」を説得できるだけの材料を与えるられるかどうかにあると思います。それはさっき言ったDAY-1の話でね、第1日目には日本はこれだけしました、ということを彼らが説得力をもって伝えられるかどうか、「日本は不十分かもしれないけれどもここまでやっていますよ」と。これすらできなかったのが湾岸戦争であり、94年の北朝鮮危機の際には米側からの後方支援要請を日本側がことごとく断ってしまった、というようなケースがありました。後者のケースがきっかけとなって、ガイドライン策定に向けた日米協議が始まるわけですね。

これに対して、ウイークポイントは何かというと、一般国民の認識レベル(議会も大差ないんですが)が浅いということは、日本は同盟国なんだから大体このくらいやるんだろうなという大雑把なエクスペクテーションがあるわけです。

 

 

 

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