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それを仮にアメリカが蹴れば、日本のナショナリズムに火がつくと、こういう悪循環を断ち切るべきだということで、私は多少大げさに希望的観測を述べているわけです。さらに言えば、そのような日米協議が常時行われるようになれば、当然日本側も空手では臨めませんからね。日本の戦略的思考も磨かれるでしょうし、政治の議論の質も向上するであろうと大いに期待するわけです。

B 徳間書店のBと申します。大変整理されたお話だったと思うんですが、若干なんていうかきれいごとのような感じもするんです。「安心」というようなことをキーワードとしておっしゃっておられますけれども、今の日本に欠けているのは安心じゃなくて恫喝じゃないかなという気がするんですね。で、今は諸外国から安心されすぎて、なめられているんじゃないかというのが私の実感なんですが、結局例えば普通の話とちょっと違うかもしれませんけれども、安定というようなことを言っても、例えばNATOが今度コソボに入りましたね。空爆をやった。地上戦も辞さないというところまでいったわけですが、あれは安定を得るために彼らはやったわけではないんでしょうか。ちょっとそのへんの事情がよく分かりませんけれども、安定と言ってもそれをやるためにはもちろん侵略をしなければならないこともあり得るわけですね。そこまで含む安定でないと、安定戦略とおっしゃっていましたが、そこまで必要なんじゃないかと私は思いまして、ちょっと具体的に日本がどういうかたちで軍事的な行動を取ったり、あるいは軍事的なもので外交で行うかはっきりしないものがあるなというものを感じまして、全く印象的な話で、私専門家ではありませんので、細かなことはわかりませんが、少しそういう印象を受けましたので、お尋ねしたいんですが。

長島 私も印象でお答えさせていただきたいんですが、なめられているというのは軍事力のレベルが低いとか、恫喝していないからなめられているというのではなくて、最初にも言いましたように、政策の進め方がどうもおぼつかないのではないかという意味で、同盟国からなめられたりしている事実はあると思いますよ。ただ、私は安全保障政策として恫喝をするということに対する国民のコンセンサスはほとんどないと思うんですが、いかがですか。

B いや、この間ちょっと。

長島 抑止というのは別ですよ。私の議論は、あくまで、抑止と安心は総合的な安保政策の両輪で進めるべし、ということですから。

 

 

 

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