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3. 質疑応答

 

司会 長島さんありがとうございました。ちょっと時間のほうが押してしまったんですが、4時半まで質疑の時間を取らせていただきまして、そのあと奥のほうにコーヒーを用意させていただいておりますので、そちらで個別にご歓談していただきますようよろしくお願いいたします。それではどなたか質問のある方。所属とお名前をおっしゃってからご質問ください。

A Aと申します。国際関係論を専攻しておりますが、安全保障を専攻しております。今日のお話は大筋で合意するんですが、一つお伺いしたいことがあります。それは、ガイドラインで代表されるように日米の安全保障が政策的にインテグレートされてくる、あるいは影響を与えるようになるというふうにおっしゃったんですが、その具体的意味が私にはイメージがわかないんです。それはアメリカの安全保障政策に対して日本が何らかの具体的な影響力を与えることが可能であるというふうにお考えなのか、私はどちらかというとヨーロッパを専攻しているんですが、ヨーロッパでさえもそれはちょっと難しい状況だと思うんです。

例えば、おっしゃっていることは、何かあったときにアメリカ軍が攻撃するのを、あるいは日米が共同して何かやるのを「1週間延ばしてみようか」と日本が言って、アメリカ軍が「じゃあそうしてみようか」というようになるということをおっしゃっているんでしょうか。

長島 それは恐らく日本側が常にブレーキを踏むという立場からのご発言だと思うんですけれども、もちろんブレーキもアクセルもあるんですね。ポイントは何かと言ったら、同じテーブルについて常時協議がなされているということです。例えば、中国に対しては戦略的には次はこういう一手でいこう、あるいは朝鮮半島についてはこういう指し手でいこうということを、常に両国政府のレベル、言い換えれば、米国政府の出先機関である米軍司令部と日本の統幕が話をするのではなくて、両国首脳レベルまで常に情報が行き交い、戦略戦術あらゆるレベルの協議が行われているという状況が私は重要なんだろうと思います。

結論は、今と変わらないかもしれませんね、確かに。台湾海峡でことが起こって、日本の腰が引けていても、結局はアメリカに押し切られてしまうかもしれません。それでも、形の上で、お互いが意見を交わしながら協議するという体制が必要で、それもなくてなんとなく事前協議だけはちゃんとやれということを日本側から言っても、それは空しい話なんだろうというふうに思うんですね。

 

 

 

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