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そういう点で、私はさっき冒頭で触れました超党派の国会議員有志が進めようとしている「戦争事実調査会」というんでしょうか、国会におけるこの動きは非常に意義があることだと思っています。

最後に透明なプロセスについて一言述べたいと思います。これは私、以前からの持論なんですけれども、国会の役割が重要だと。私はガイドラインの法整備でも、国会の承認問題がきわめて重要だと発言してまいりました。国会による承認は、自衛隊の出動だけにかけるんではなくて、自治体の協力や民間の協力などすべてにかけるべきだと。周辺事態への対応を定める基本計画を一括して国会で審議すべきだといろいろなところに書かせていただきましたけれども、これはきわめてシンプルな議論なのです。すなわち、国権の最高機関で、主権者国民の直接代表で構成されている国会が、国策の重要な決定に対して一定の役割を果たすということはしごく当然のことです。そういう役割を国会が担うとなれば、現在のような貧弱な立法スタッフは拡充しなければならないし、立法調査機能は大幅に充実させなければならないし、こういうことで初めて国会の機能というのは十分なレベルに育っていくんだろうというふうに思います。

そして、国会機能拡充に関連して、最後に触れなければならないのが集団的自衛権の問題です。まず、私は個人的には、「権利をもっているが行使できない」「国際法上保有するが、国内法上、憲法上行使できない」という権利の考え方はおかしいと思っています。日本に今期待されている集団自衛権の行使というのは、アメリカと肩を並べてコンバット・オペレーションを行うというわけではありません。(もちろん、将来的にはそういう方向性に行くのかもしれませんが)せめて、先ほど説明したような、日米が実効あるかたちで共同行動をしていく際に障害になるような憲法解釈を巡る混乱を一つ一つ取り除き、その共同行動をスムーズにさせるという意味で、私は集団的自衛権はこれを認めるという方向で検討すべきだと思います。

しかし、これは、内閣法制局がインフレキシブルだといって怒っていても仕方がないんで、本当にそのように集団的自衛権を行使すべきだというように国会議員が思うなら、彼らは立法を通じて、国会の有権解釈を出すべきなのです。というのは、内閣法制局の一握りの役人が行う憲法解釈よりも国会の有権解釈のほうが民主的正当性は高い、従って権威性が高い。最高裁判決が出るまではね。ですからここは、これも年来の持論なんですが、包括的な「国家安全保障法」というものを制定する。

 

 

 

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