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そこで、少々手前味噌なんですが、最近、外交問題評議会から出た本なんですが、The US Japan Alliance: Past, Present and Future (この本は、10人の専門家の人たちで書かれている日米安保の決定版ともいうべき本で、近く、剄草書房から日本語版も出版されることになりますが)の中に、私が前の国防総省のジャパン・デスクだったポウル・ジアラ氏と一緒に書かせてもらった、将来的に二国間の政策調整メカニズムをどうやって構築していったらよいかについての一章は参考になるだろうと思います。

今ある日米間の政策調整メカニズムというのは、閣僚レベルのSCC(セキュリティー・コンサルタイティヴ・コミティー)、それと局長、次官補クラスのSSC(セキュリティー・サブ・コミティー)ですね。この二つが今あるわけですけれども、ご承知のとおり閣僚クラスの「2プラス2」(日米外相、国防相会議)といわれているのは年1回、次官補クラスのやつは頻繁に行われているんですけれども、アド・ホックでスタンディング(常設)ではない。これを補強するために、日米間に政策調整のための常設の事務局をつくるべきだと。それを仮に「日米安保条約機構」(JUSTO: Japan-U.S. Treaty Organization)と名づけましょう。そして、そこの事務局にアメリカからは国防長官府のスタッフ、それから統合参謀本部(JCS)のスタッフ、それから太平洋軍司令部、在日米軍司令部、それから陸、海、空、海兵隊のスタッフ、それから国家安全保障会議(NSC)のスタッフ、こういう人たちを常駐させる。日本側からも防衛庁、外務省、警察庁、それから統合幕僚会議、陸、海、空幕、そして関係省庁の連絡会議のスタッフが、今までは状況対応的にやっていたのを、常設のかたちにしてプランニングからインプリメンテーションまで全部やる。こういう組織をつくったらどうか、と提案したわけです。

これをさきほどの3番目の意義と引っかけて言うと次のようになる。すなわち、今までは日本を守るためだけの日米同盟という観点からだけで同盟構造が成り立ってきたので、日本のカウンターパートは在日米軍だったわけです。「2プラス2」もつい最近までアメリカ側は在日米軍司令官と駐日大使が日本の外相と防衛庁長官を相手にしていた。実に95年までそういう状況だったのですよ。本当の意味で「2プラス2」になったのはつい最近のことです。しかし、今申しましたような常設の調整メカニズムをつくることによって、在日米軍が日本のカウンターパートだったものが、太平洋軍そしてJSC、そして大統領府のNSCまで常時巻き込むようになり、ここまで政策の影響力というものを拡大することができる。

 

 

 

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