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だから、マスコミに問題があることは事実ではないか。一番の問題はマスコミを批判する人がいないことだと思います。つまり、客観的な評価機関がないということです。

もう一つ。行革会議がスタートしたときに、審議組織の構成から進め方にいたるまで、いろいろ問題があったと思います。しかし、議論をいろいろトレースし、責任者の人たちも会って、あるいは資料をそのつもりで読んで見ると、例えば佐藤幸治先生にしても、藤田宙靖先生にしても、これからの日本をどうするかという最終報告の初めのほうなんていうのは、非常に格調高いし、国民のためにということでやっておられることはよくわかるんです。しかし、そのことと、具体の改革との落差。

例えば郵政事業一つとっても、どうしたほうが国民にとっていいかということ、あるいは、私は、国鉄改革をするときも政治家の発想というのは、自民党なんかは国鉄が人減らしなどについて、言うことを聞かないと分割民営にする、改革に努力しなかったら分割民営化しようという発想でした。そうではなくて、あの国民の財産をどういうふうな使い方をしたらよく機能して、社員のためにも、国民のためにもいいか。それが分割民営化なんだと、私は説いて回ったんです。この発想がもし本当に、佐藤先生が中心になってやっておられた改革の理念からいったときに、具体の構想が、省庁のこの改革案が理想的であったかというと全くそうは思いません。郵政事業一つとっても、今のままが国民にとっていいかどうか、郵政省の職員にとっても今のままがいいかどうかというのは、私は問題があると思います。

ということはどういうことかと言えば、各省の仕事、省立て自体が直接国民のためにどうとかこうとか思いませんけれども、例えば国土交通省にしても、こういう収まり方がいいとは決して思いません。あるいは、一時、水の問題で建設省の中から河川局を抜き、河川局と農水省とを一緒にするという構想がありましたけれども、むしろそのほうがよかったかもわからないですね。あるいは、この間、公明党はすぐ引っ込めましたけれども、林野庁というものを今までのように経済資源としてとらえるのか、環境資源としてとらえるのかという、基本的な問題があります。橋本総理のこの点についての発想はすばらしくいいんだけれども、何か反対されるとすぐペシャンと引っ込んでしまうところがあるんですね。林野の行政を環境省に持っていきたいというのは、前総理はかなり前から持っておられたんですけれども、それを強力に押し進めることはしなかった。反対が多いと嫌になってしまうんですね。そういう類はたくさんあると思います。あるいは、今の科学技術庁が3つに分かれるんですね。

 

 

 

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