田中 Bさんがお見えになる前に、冒頭に私は、事務局にはいろいろ制約がある。それなりに整合性はね。某新聞社の記者なんですけれども、私にこう言いました。所掌事務の規定のワンポイントのところです。私から取材して、これをデスクに上げたところ、デスク氏いわく、「我が内閣法制局がオーケーしたものがそんなにおかしいわけがない」。大新聞社ですよ。原稿を突き返され、「おまえ、もう少し勉強しろ」と言われて、再度、丁寧に説明してあげたら、なるほどと。私は『東洋経済』に発表するまで時間を稼いだんです。新聞に先にそれを書かれちゃかなわない。デスク氏につき返されてよかったんですが。そういういきさつもあります。だから、我が内閣法制局のマスコミ界における信頼はそれほど高いということです。内閣法制局がつくったことに何の文句のつけようもないじゃないかというのが…。
B それは昔の望ましい国民の姿ですね。
田中 そういうことです。
B あと、独立行政法人については、これは考えが違うような気がします。独法機関というのは見ていただくと、新聞にこうやって載っていますけれども、実際に独法化するものの相当部分は試験研究機関ですから、研究とか開発みたいなものを議論の対象としている者から見ると、独法のトップというのは、「高度な知識及び経験を有する者」というところは、役人ではなくて、高名な研究者なり科学者であると読めばいいのではないかと思っています。実際、私個人としても、今回上がっている独法対象の機関は研究機関ですから、その長というのは経営のプロということよりもむしろ、研究者が惹かれるそれだけの蓋然性を持った高名な研究者が望ましいと思っています。実際、今でも世界中どこでもまともな研究所というのは、長は普通は経営者ではなくて、もちろん経営能力はあるのですが、有名な研究者の場合が多いです。そういった意味では誤解してしゃべっていると思うんですが、今回対象となった独法みたいなものについて言えば、高度な知識、経験を有する者。役人もあるでしょうけれども、役人というよりは科学者、研究者を指していると思います。独法のときに経営感覚を強く訴える人が圧倒的に多いわけですが、その人は大抵出身が法文系や経済系であって、申しわけないんですが、そういった感じなんだろうと思うんですよ。私も文系なんですけれども。対象機関がもともと考えていたものとずれたということかもしれませんが。