A 確かにアメリカと比べれば、大統領制と議院内閣制とはおのずと違うから、同じような格好にはならないんでしょうけれども、少なくともある意味で、例えば予算を大蔵省が全部持っていて、そこでがちがちに決まっていってはいけないから、もうちょっと政治的なリーダーシップでもってやろう。だったら当然、内閣の直で何かやるという感じですよね。官房の下に行ってしまったら、どう見たってそれは力がないですよね。
田中 だからといって、官房の上に持っていくかという話にすると、今度は肝心なときに意思決定がどっちがどっちか、わからなくなってしまうおそれがあるんですね。表に出ておりませんけれども、本部の事務局、幹部、本部自体で大議論されたはずなんです。
A 大議論したって、結局役所の中で議論したのでは…。
田中 本部の顧問会議でも議論され、結局、内閣官房を上につけたということのようです。
A でも、少なくともそれはアカウンタブルでもないし、ディスクローズもされてないですよね。国民的議論というか、最終討議にかけられてないんですよね。
田中 おっしゃるとおりです。ですから、まさにそれが問題なのです。だったら、どうすべきかというのがもう一つあるんですよね。
司会の方、何かありますか。
司会 今回の法案は、4月27日に閣議決定されて公表されましたので、5月の連休を含めて全部読んだのですが、一番驚いたのは、どなたも全部読んだ人がいなかったということです(笑)。特にマスコミの場合は。
田中 「どなたも」というのは研究会のメンバーではないですよ。世間様です。
司会 もちろん新聞には、いろいろな解説が出ていますけれども、読んでいないということがよくわかりました。逆に言うと、我々しか読んでないというのはすごく怖いことだなと思いました。内閣の経済財政諮問会議のしかけも、読んでいてパズルを解いている雰囲気になりました。つまり、内閣官房をどう位置づけたか、そこの所掌をどう振ったか、諮問会議をどこへ持っていったか、内閣府の仕事をどう振ったか、実に見事な制度設計をしていますね。見事というほかありません。どうにでも読めますね(笑)。
例えば諮問会議の規定の仕方を見ていても、通産省の、今度の経済産業省の設置法の経済財政諮問会議に対する関与の規定なんて非常におもしろいものですよ。通産がいかにここに関わりたいかというのが、実は設置法ににじみ出ております。