日本財団 図書館


ちょうど行革会議がスタートする直前です。行革会議の会長である橋本総理は、「これはいいものをつくってもらった」と。何が書いてあるか一度読んでいただきたいんですが、国が関与する基準が示してある。どうも今のところ、国が余計なことに手を出し過ぎている。ここが限度で、こういうことなら国がやるべきだ。しかも、なぜ国がやる必要があるか、やるときにはアカウンタビリティーがある。つまり、国は、なぜそれをやるのか、説明する責任がある。それから、国が関与する場合、最小限の関与であるべきだ。そういうことが書いてあるのですが、それを1996年12月の閣議決定で、「行革プログラム」というのがありますが、その中で、各省は自分の省の仕事を見直すときには、この基準に沿って行うべきである、と書いてあるのです。閣議決定してある。そういうことが一つも守られていないというのが、私としては残念で仕方がない。そこまで持っていった私、行政改革委員会事務局長としての思いがあるものですから、それで、ここに腹立ちまぎれにと言ってはいけないのですけれども、書いてあります。

各省設置法は全部、第4条で所掌事務を書いています。取り上げた例をご説明しましょう。総務省設置法に、「地方公共団体の人事行政に対する協力」と書いていますね。これは地方公共団体が、人事行政がいかにあるべきかということについていろいろ悩んだときに、今の自治省がいろいろ知恵を貸すということなんですけれども、ここには皮肉に書いてある。自治省は一番多く地方公共団体に天下っているわけですけれども、やっぱりあれは「協力」だった。皆さんは天下りと言うけれども、あれは協力なんですよということなんですね。

それから、外務省のことが書いてあります。きょう、この場に外務省の方がおれらますが、「政務」の読み方になるんですけれども、通常、字引を引いたら政務は政治に関する事務なんですね。政務に関することは今でもありますけれども、引き続き、「政務の処理」。とにかく、日本は立法、行政、司法、三権分立なんです。立法はいいですね、法を立てるわけです。司法というのは法を司どり、どこに法があるかということを判断する。だから、行政は、本当は「行法」でなくちゃいけないんです。法律を行うのが行政なんですから、だれが訳したか知りませんが、「行政」と書いていますね。政治を行うんですよ。だから、外務省も忠実に国家の方針に基づいてやっておられるということであります。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION