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権限でないことがだーっと書いてある。さっき私が言ったような、政策評価から行政監察のことが書いてある。一言でいって、仕事に携わる職員が苦労する。ということは、きちんとした政策評価や行政評価は望むべくもないということになります。

これと似たところがただ一つあるのです。環境省。環境省設置法にはこう書いてあります。総務省と同じように、第5条で「環境省の長は環境大臣とする」。その次に、「環境大臣は、環境の保全に関する等々」について「必要があると認めるときは、関係行政機関の長に」「勧告し」と書いてあります。けれど私は、これは設置法に書く話ではなくて、環境庁の場合は環境基本法という実体法があるのですから、環境基本法に書けば済む話ではないか。このことを、中央環境審議会のある有力なメンバーに、この間、「何であなた方、設置法に書かないで、環境基本法に書かないのか」と聞いた。そのほうが環境大臣の権威も高まるのではないか。つまり、環境省の大臣というのは、各省政策を環境政策の立場からいろいろ勧告する必要が出てくるのです。それはむしろ、環境基本法に書いておく話ではないのかなと。政府の中でごちょごちょという話ではなくて、国民のための行政、評価も国民のためのものですから。

抜けているのは、評価ということについて、国民にかわって評価するという視点です。だから、政府の中でやればいいという発想になる。評価の重要性を見直したようでありながら、本当の意味で見直していないのではないかというのが私の思いであります。

 

【所掌事務を見なおさなければならない】

 

それから、『東洋経済』の左のページの上のほうをご覧ください。「ワンポイント」で書いています。実は、この「奇妙な所掌事務規定の例」でありますが、これ以外にも、倍も3倍も研究会のメンバーの皆さんが出してくれたんです。ある全国紙の有能な記者さんが、なぜおかしいのかわからなかったということでした。私たちが「奇妙な」というのは、これから簡単にご説明しますけれども、実は、所掌事務規定というのは各省は見直したことになっています。というのは、全部変えていますから。新しいものを加えてさえいます。書き直したり、丁寧に見るとそういうものが随所に見られます。

私がここで問題にするのは、新しい省庁に移行するに当たって、十分に改革の主旨が生かされていないのではないかということがあるからです。実は、2年半以上前になりますが、1996年12月に、最近亡くなられましたけれども、轉法輪さん(当時、大阪商船三井船舶(株)会長)という方が行政改革委員会の小委員会で、「国の関与のあり方に関する基準」というものをつくった。

 

 

 

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