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問題は総務省の行う評価(政策評価、行政評価等)です。今の総務庁の行政監察ですね。この役所は、非常にいい仕事をしています。現に、部分的ではあっても政策の評価から行政評価までしているのです。行政の全分野にわたっての国民からの苦情も受けて、ときには苦情をもとにしながら、調査をし、監察をして、国務大臣である総務庁長官から関係大臣に改善せよと勧告するわけですね。そういう機能を従来から果たしてきているのです。私自身もかつてここの局長をしていたので、自分から言うのもなんですけれども。

行政監察については、従来から、総務庁設置法にこの関係の権限が書いてあります。つまり、ほかの省の設置法とは違って、総務庁の設置法をご覧になればわかりますが、総務庁長官は調査の権限が所掌事務及び権限として設置法に書いてある。例えば、各省大臣は調査を拒むことはできない、資料を出さなければいけない、説明しなければいけない。それから、特殊法人だとか補助金をもらっている相手方も、ちゃんと監察や調査に対応し、協力しなければいけない。一般の国民も、「関係者は協力を求められれば協力するものとする」と書いてあるのです。

つまり、総務庁の監察というのは、各省の事務・事業を監察する。各省が自分のことを監察するのではなくて、政府の中にあって第三者的な立場に立って各省を監察・調査する。それに関連して特殊法人とか、今度できる独立行政法人も調査対象となる。補助金は役所だけがもらっているわけではなく、民間ももらっていますから、補助金をもらっていれば、民間人だって調査するわけです。

ところで、このたびの改革では、設置法については加藤秀樹さんのご努力もあって、今までと基本的に変わりました。というのは、今まではその省の任務、それから所掌事務及び権限と書いてありました。その権限については、設置法に書くのは紛らわしいということで、今度の設置法からは「権限」を落とすことになった。

各省庁の権限というのはすべて実体法である各行政作用法に書いてある。つまり、かつての銀行局について言えば、大蔵省設置法に所掌事務・権限として銀行に対する権限がいろいろ書いてあった。一方、銀行法という法律があって大蔵大臣の権限は書いてある。環境庁がいろいろ権限を設置法の中に書かなくても、大気保全法、水質汚濁防止法など実体法があって権限は明確である。ですから、そういう法律に基づいて仕事をすればいい話です。しかし、そうすると、環境庁がどんな法律を持っているかわからないではないかということについては、環境庁のガイドブックなどで、どういう法律を持っていて、どんな権限がありますと説明すればいいわけで、何も法律に書く話ではない。設置法に書けば、今度はそれを権限として行政指導したり、いろいろな紛らわしいことが起きる。

 

 

 

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