ご承知のとおり、独立行政法人というのは、国の事務を切り離して独立させるわけですから、「高度な知識及び経験を有する者」というのは当然に監督官庁のOBですよ。そのOBが「高度な知識及び経験を有する者」なんですから、初めから天下りを予定しているとしか思えない。
もう一つの資格要件のほうですが、私が先ほど、なぜ独立行政法人の話を延々としたかといえば、経営感覚がないとだめだというためです。知識も必要かもわからないけれど、むしろ経営感覚、一つの独立した法人を運営していくことのほうがよほど大事ではないかということで、本当は資格要件は後者だけでいいのではないかと思います。しかしまあ、二つ書いてあってもいいんです。どちらかというのではなくて、両方持っている人がやれば一番いいのです。なぜ分けるのかというと、大体、役人のOBは経営能力がない人が多いわけですから、こう書いておかないと天下りできないということなのかなという話になる。役人のOBとしてはなかなか言いにくいことを平気で言っておりますが(笑)。
それから、もう一つおもしろいことは、左のページのほうですけれども、独立行政法人、これは省庁等改革推進本部の「方針」に書いてあるんですけれども、この方針の中に、独立行政法人の長を公募するときは公正でないといけないと書いてあります。反対解釈すると、天下りの場合は公正でなくていいのかと、そういうふうに読める。これも問題ではないかと思っております。
さらに問題なのは、通則法を読むと、独立行政法人制度は国家公務員型の場合は「特定独立行政法人」ということで、そのための要件が書いてあります。ところが、これは非常に幅広い書き方で、ほとんど全部入るんです。というのは、ご案内のとおり、通産省の貿易保険等の業務を除き、ほかの大部分は国家公務員型です。そうすると、それを全部読みこめる定義ということになりますから、こういう特定独立行政法人になるわけです。もっとも、行革会議の最終報告は国家公務員型でも非国家公務員型でもよろしいということになっていますからこういう事態は当然予期できた。当初から、そして今なお自民党はそう言っており、それは正しいと思いますけれども、独立行政法人の職員の身分は非国家公務員型であるべきとしています。特殊法人は全部そうじゃないですか。非国家公務員型が原則で議論してきたけれども、行革会議自体では、連合が大反対をする、芦田さんが強硬に反対をして、制度自体が成り立たないものですから両方つくったといういきさつがあるんです。