まさに、ドン・キホーテが風車を敵だと見立てて槍を持って突っ込んでいるのと同じような話が、どうもあるんじゃないかなという気がします。
ちょっと話が横に飛びましたが、要するに、独立行政法人に政府が力を入れたのは、省庁の巨大化に対する国民の非難を避けたいからであったと思われます。つまり、今のままで省庁を統合するのはまずいということから発想した。確かにそれは非常に不純な発想だけれども、私は、しかし、弾力的に運営し、計画的に、かつ評価を徹底し、運営の透明性を高めることは非常にいいことではないかと思っております。
こういう文脈で改革をとらえますと、既に特殊法人は政府から出ているわけです。現に80前後ある特殊法人というのは政府の中にあるわけではないのです。一応独立している。昔、私の記憶によれば、三公社の改革を検討しているときに、イギリスの政府やマスコミが勉強に来ましたけれども、日本のほうが進んでいた。事業的なもの、例えば、道路公団などをみましても、高速道路の建設や管理を国が直接やることはないんです。だから、外へ出している。ある面から言えば、考え方や仕組みとしては日本が進んでいるんです。それを、こともあろうに、今、事務次官より特殊法人の総裁のほうが給料が高いのは何事かといって下げることにしたのです。あれは、総裁などは民間からも登用したいということでやったんですが、それでも安いから、だれも来る人がいない。来る人がいないから、役人のOBがずっと座り出したら、外から見ると天下りの巣になっているんじゃないか。だから、天下りになるのはけしからん。事務次官より給料が高いのはけしからんというわけで、どんどん下げている。ますます人が来なくなるという悪循環を特殊法人はしているわけです。特殊法人はそういうわけで、省庁半減に当たっては、差し当たりの関心事項ではないわけですよね。既に省庁の外に出ているんです。だから、省庁の数を減らすという意味から言えば関係ない。だから、特殊法人改革は自民党でやっているということで、橋本さんは、「あれは自民党に検討してもらっています」という話になっている。
そういうことで独立行政法人制度を構想したのですが、この独立行政法人の長は、ここに書いてありますように、資格要件を二つ置いているんですね。通則法を読むと、そのどちらかでよろしいと書いてある。一つは、「独立行政法人が行う事務事業に関して、高度な知識及び経験を有する者」。もう一つは、当該独立行政法人が行う事務事業を「適正かつ効率的に運営することができる者」です。