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要は、官から民へ、国から地方へということを徹底した上で、省庁改革をすべきだということです。当然の議論でありますが、今申し上げたように、この二つとも不十分です。

そこで、中央省庁等改革推進本部・事務局もそうですが、その前の行革会議がなぜ独立行政法人制度の創設に力を入れたかといえば、やはり今の省庁を小さくしないと、確かに巨大な省ができるだろう。だったら、今の省庁を構成している事務事業のうち、現業的な、事業的なものを政府の外へ出そう。もちろん補助金的なものは従来どおり要るだろう、お金はかかる。しかし、もう少し自立させて、運営に弾力性を与えてやろう。それに計画性を持たせよう。そして運営を透明にし、第三者の評価を加えることにしよう。ということで、政府の外へ出すならば、これはイギリスのエージェンシーをまねしているわけですけれども、減量の方法としては一番現実的なんですね。さっき言った国から地方へとか、官から民へよりも、現に外へ出す話が目に見えるわけです。

これを勘違いして、学者の中には、独立採算もできないのに外へ出すとは何だ、あるいは、文化的な西洋美術館や博物館を法人にするのはおかしい。こんなものは独立採算で運営できるわけはないので、予算にとらわれることなく高い文化を維持するためには、国立である今のままがいいんだという議論があります。何もお金をあげないというわけではないのです。今までどおり、要る金はあげるんです。しかも、計画性というのは、どんな仕事でも効率を考えて計画を立てなければいけないということを言っているんです。美術館や博物館の運営は効率的でなくていいのか。文化や芸術は効率などを頭に入れるべきではないと言うんですが、今でも霞を食って生きているかというとそうではなくて、予算を使って運営しているのです。であれば、それを少しでも効率的に運営するにはどうしたらいいかということを進めて何が悪いのか。それから、計画的にすると、新しいものをいろいろ買いたい、外国からも有名な絵を買いたいと思ってもそれができなくなるという。それを計画に入れればいいだけの話ではありませんか。特殊性があれば、それはそれで関係者を説得し、それを配慮すればいいではないかと私は思います。

それから、予算でも今のままだと国の会計に縛られ、単年度予算で、弾力的に使えない。だったら、事業としてとらえて、それを美術館だろうと、大学でもそうかもわかりませんが、弾力的に運営できるようにすればよい。国立大学も平成15年までに独立行政法人にするかどうか検討することになっていますが、いずれにしても、独立行政法人に対しては自分で勝手にイメージをつくって、それが間違っていると批判している人が非常にたくさんおられます。

 

 

 

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