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この内閣副官房長官補というのは、今の3室、内政審議室、外政審議室、安全保障・危機管理室、この数に見合っているんです。今までは、例えば内閣内政室が忙しくても、他の2室は暇だとか、外政室がペルーのときみたいに忙しいときでも、片一方は暇だとか、やはり縦割りになっています。それを今度は、そのときどきの仕事の重要性と仕事量に応じて、自由に構成しようというわけです。その構想は非常によろしいのですが、ただ、その3人という意味は、現在3人おるから3人という発想に違いないと思います。実は、この点をとらえて、政治家の中には3人じゃなくて5人ぐらいにしなければいけないんじゃないかという話があります。5人にしても3人にしても、私は同じだと思います。内閣官房副長官補というのはそういうことです。そのほかに、今でも置かれていますが、内閣広報官、内閣情報官、内閣総理大臣補佐官、この補佐官は今まで3人以内だったんですが、5人以内になります。水野先生や、外務省OBの岡本さんがやっていたような役回りですね。これが特別職で政治的任用です。

総理秘書官をはじめ内閣官房の一般の職員はどこから持ってくるのか、法律を読んでみますと、各省からは「優秀な人材」、行政外部からは、つまり民間からは「専門的知識を有する者」を求めることになっています。私はこれを読んだとき、何の疑問も持たなかった。後で、研究会で仲間から指摘されて、やっぱり役人上がりはだめだなと思ったんですけれども、これはおかしいと言ったのは民間のメンバーです。私はこれを読んだときに、各省からは「優秀な人材」というのは、役所はばかなやつが多いから、優秀なのを出さないといかん、民間の人はあまり専門的なこと、行政のことを知らないのが多いだろうから、専門的な知識を持っている人じゃないと、いいかげんな人はだめだよと、善意に読んだつもりです。この書き方は、実は一種の例文なんですけれども、民間の人はこれを読むと、まるっきり逆にとるそうです。役所の人間は優秀なので、民間からは優秀でなくてもいいから専門的な、歯車のように使える人が来ればいいんだというふうにとるというんですね。なかなか日本語も難しいなと思いました。

私と民間の人の理解に違いがあるのは、それはそれでよろしいんですけれども、しかし、もう一歩先まで考えてみると、民間からと役所からとを、なぜ2種類に分けないといけないのか。両方とも優秀であり、かつ専門的であるというのではなぜ悪いのかという疑問が出てきます。

 

 

 

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