【内閣及び内閣官房の機能強化は図られた、それだけに運用次第で大蔵官僚の支配が強まるおそれ】
そこで内閣機能の問題ですが、はっきり申し上げて、特に内閣官房が強化されたことは事実であります。これはつなげて理解する必要があると思います。というのは、内閣総理大臣に閣議での発議権が設けられました。発議権というのは、行政法学者や憲法学者によれば、現行法上すでにあるわけであって、改めて書く必要はないという議論もあります。しかし、今までは内閣総理大臣が閣議の場で、内閣の重要事項について発言されることはおよそなかったわけであります。そういう事実から、理屈ではなくて事実からすれば、重要な一つの内閣法の改正だと思いますが、それを裏打ちするのが内閣官房の企画立案、国の重要施策についての企画立案を行う権限です。これは新たに内閣法第12条に設けられたものです。このことについては、内閣府はアンタッチャブルの話になっております。ここに書いておりますように、今までの内閣官房というのは閣議事項の整理だとか、内閣の庶務だとか、総合調整、内閣の統一性を保持するためといったことが書いてあったのですが、今言いましたように、「国の重要政策に関する企画及び立案」と、これが明確に書かれたことは非常に注目すべきことであります。
「つなげる」というのは、内閣官房のこの事務の裏打ちがあって、総理の発議権にこれが実現されるということになれば、法律が予定したことが非常によく機能するということで、私は、その点は評価すべきだと思っています。だが、それがそういうふうに運用されるかどうかというのは、まさにこれからの問題で、また、私が言うように、そういうふうに理解してくれるかどうかというのは別問題でありますが、少なくとも内閣法並びに内閣府・各省の設置法を読んでおりますと、このように理解するのが正しいのではないのかと思っております。
そこで、予算を例にとっておりますが、予算編成の基本方針を内閣官房が企画立案することに、今の話でいえばなるわけであります。予算制度の企画立案と現実の予算の作成というのは、今の大蔵省、従来どおり財務省が行うということになるわけです。そうすると、鳴り物入りで議論された経済財政諮問会議は一体何だろうかという話になるわけです。あれは一言で言えば、性格は審議会です。先ほどの司会の方の話ではありませんが、内閣府についても水野清先生などからヒアリングをし、関係者、事務局にいた人たちからもいろいろ話を伺いますと、内閣府というのも出てきたタイミングそのものが非常にユニークですし、どう見ても、はっきり言って、行革会議で何となく決まったとしか思えない。