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【改革を基本的には支持する】

 

内閣機能の強化なんですが、これははっきり言って、図られていると思います。

その前にこのことを申し上げておかなければいけません。私たちは、今度の改革についていろいろと悪口は言いますけれども、基本的には支持しております。なぜか。それこそ100年になんなんとするような聖域にメスが入り、改革に向けて少なくとも動き出したということは高く評価すべきだと思います。完全なことができるまでなかなか動かないというのが、どの社会でも日本ではそうなんですけれども、このことについて、角田禮次郎先生(元内閣法制局長官・最高裁判事)の言葉を思い出します。実は私は、行政手続法と情報公開法の両法案要綱をつくるときに、ずっと角田先生と塩野宏先生に付き合ってきたのですが、角田さんは、あまり完全なものをつくろうとすると、その法律自体が今度は改正しにくくなって、時代にあわなくなることが多い。むしろ、若干不十分なもののほうが改正もよくされて、時代にマッチしたものになるから、要は早く動き出させることが必要なんだとおっしゃいます。元法制局長官がおっしゃるような話ではないと私は初め思っておりましたけれども、このような仕事を何年もやっている間に、それは一つの真実だなと思うようになりました。

そういう意味でも、例えば総務省設置法案を見ますと、一体あれは何だねと言う人がいます。しかしながら、これは本部事務局の幹部にはかなり合理的に説明する人がいますけれども、それはそれとして、少々いびつであってもよろしい。むしろ、それは早く正常な姿にしようというインセンティブになるかもしれないというのんきな考え方をしております。あるいは、国土交通省については、本当は地方分権というものはどういうものであるのか、地方自治の観点からはどうであるべきかということをもう少し真剣に考えてもらう必要があった。出先機関に委ねるといったとき、いずれにしても、国土交通省の枠の中の話であって、地方とは関係ない話だという議論は十分にあります。地方公共団体に対する事務や財源の引き渡しが不十分であるという意見はありますけれども、それにしても、長年聖域とされた中央省庁に初めてメスが入るということは、いくら評価しても評価し過ぎることはないと思います。

 

 

 

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