岸田 最近、かなり影響が弱まっているというか、マスコミに登場する機会もぐんと減ってしまいました。レベジさんというのは、私も会ったことがありますが、かなり一本気で難しい人なんですよ。エリツィンではないですけれども、側近などもどんどんクビにしていったり、もしくは、厳しいからこんな人とやっていけないというので出て行ったり、そういうように、96年に大統領選挙を戦ったときのブレーンというのは、今ほとんど残っていないんですね。
先ほどのチェルノムイリジンなどとは逆で、カリスマ性はあります。決断力はあるし、特に安全保障とか軍事問題については専門家ですし、外交に関してもかなり強い意識をもってやり抜く人ではあります。ただ、そういうように下がなかなかついていかないといったことがありまして、今クラスノヤルスクでも汚職疑惑が取り沙汰されているようで、一時ほどの勢いは全くない。
先ほどおっしゃったように、レベジさんをアメリカの国務省が招待しまして、そのときというのは、我が先、我が先というような形で海外からもいろいろな団体が招待状を送り、日本も招待しましたけれども、最近それがパタッと減っている。そして、外国に行く機会も減っていて、海外に対して自分をアピールする機会も減っているといった状態です。彼がクラスノヤルスク地方知事になったときは、まだかなりバックもいましたし、ベレゾフスキーなども資金援助をしました。しかし、大統領選挙になると、ベレゾフスキーは自分の言うことをきく人間とか、新興財閥の利益になる人間は当然支援しますけれども、そうでなければ支援しませんから、レベジのような人は、かなり折り合うのが難しいので、例えば支援してもその見返りがそのまま返ってくるという可能性はあまりありません。ですから、新興財閥の中でもレベジを支援するという動きは大分冷えていると聞いています。
G でも、まだ可能性としては残っているということですか。
岸田 可能性は、そうです。ですから、先ほどのチェルノムイリジン、ヤブリンスキーではないですけれども、排除はもちろんできないんですが。
ただ、ロシアの場合は、欧米などと違いまして、急にポンと出てくることもあるので、本当になかなか正確に見通すというのは難しいです。
熱しやすく冷めやすいんです。ネムツォフなども、彼が第一副首相になったときは脚光を浴びたでしょう。