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岸田 日ロ関係については、我々マスコミもそうですが、大体北方領土問題というとらえ方をします。ただ、北方領土問題だけでとらえると、確かにあまりにも短絡的すぎて、枠があまりにも狭くて、北方領土問題だけを日ロと考えるのは全くの誤りだと思っています。むしろ、それよりも先ほどから話が出ています安全保障の問題とか、経済のものですとか、それの長期的な、もっとグローバルな観点で日ロ関係をとらえるべきだと思います。

今後、2000年までに平和条約が調印できるかどうかというのは一つのポイントですが、日本政府が言っているように、領土問題を解決した上での2000年までの調印というのは、まず無理だろうといわれております。だからといって、今日本の一部で議論が出ている対ロ関係見直しに走るのか。領土問題に調印できないから、では経済協力をやめましょうということになるのか。その辺は、もともと日本人はロシアに対して、ソ連に対して恐怖心もあるし、それにかなり悪い印象が強いので、そういうような議論も出てくるとは思います。

ただ、この中にロシアの専門家の方も何人かいらっしゃるようですので、御存知だと思いますが、ロシア人というのは打ち解ければかなり友好的で温かい民族です。いったん友達になるととことんまで面倒を見てくれるというようなところがあるので、もっと草の根レベルで日ロをとらえて、友好関係を広めていく。それが一般的なレベルから言うと一番重要なのではないか。

あと、先ほどロシアの知日派の提案などがありましたが、とりあえず2000年までに平和条約を調印する上で一つのステップとして、2島返還を検討するかどうかといったことも含めて、もっと日本国内で議論があってもいいと思います。外務省の立場からすると、当然4島一括返還だという主張が一番もっとも強いのですが、かといって、これが不可能なら経済協力も含めて関係を悪化させるということになると、先ほど言った安全保障面、グローバルな観点からみての日ロ関係、それについては大きなマイナスになると思います。その辺をどのあたりで妥協できるのか、もしくは妥協していくのかということを、もっと議論していく必要があると思います。

G 先ほどの話ですが、後継者としてレベジさんの名前が挙がっていますけれども、一時、彼はかなり話題になりまして、アメリカの国務省の高官などに話を聞いても、彼が勢力を伸ばすことはアメリカにとってもかなり警戒しなければいけないということでしたが、最近はどうなんでしょうか。

 

 

 

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