民間の投資が絡むようなものであれば、誰が保証するのかというような問題とかまたいろいろ難しい問題も出てきます。そういった点から、まだ地方では、日本の自治体ほどの効率的なシステムはまだ出来上がっていなくて、実際、ソ連が運営していた共和国でもまだうまく動いているようなところは少ないくらいですから、ましてや、もっと末端の州、地方になってくると、どの辺まで自立できているのかというのは、まだまだ疑問に思うことが多いです。
ただ、全体的に極東地域も含めて、日本への関心というのはものすごく高いです。そういった意味でいうと、ロシアが、少なくともウラルよりもこちらの日本寄りのほうの地域については、かなりアジアとの関係を強調して重視するような姿勢が目立つというのも事実です。
E ご説明の中で、今後の大統領選挙の大統領候補として何人か挙げられていますけれども、私が知っている限り、ロシアのマスコミでは必ずといってもいいぐらいチェルノムイルジン元首相と、ヤブリンスキーの名前が取り上げられていますので、先生の何か特別のお考えがもしありましたら、ぜひご説明していただきたいと思います。
岸田 おっしゃるとおり、ロシアのマスコミの世論調査では、必ずヤブリンスキーとチェルノムイルジンの支持率なども同時に出ますが、その二人については私は大統領になる可能性はないと考えています。
その理由は、まずヤブリンスキーさんですが、この人については、インテリゲンチアであるし、かなり博識の方でもありますけれども、ああいった方は欧米受けするタイプだと考えています。それで、いわゆる学者肌であってスマートな方というのは、あまりロシア受けしないのではないかという気がするんです。それで、よくカリスマ性といわれますが、それがロシアにおいてはかなり重要なポイントだと思います。しかし、それがあまり感じられない。
ロシア帝国時代から皇帝によって支配されていたロシア人という意味あいからいえば、ロシアの人々というのは、皇帝のような強い権限を持っている人物が常にコントロールしてきた。それで、知識で理論的にまくしたてるような人はあまり受けないわけです。例えば、ブルブリスが一時エリツィン政権の中枢にいましたが、ああいうような人は歓迎されない。