日本財団 図書館


岸田 もともとプリマコフさんというのは、御存知のように外務大臣をやった人です。当時言われていたのは、プリマコフに任せてはいけない、つまり、プリマコフさんに点数を稼がせてはいかんのだと。ただ、重要な問題で、ロシア国内でもかなり関心が高いですから、ある程度国際的に知名度があって、しかも実務能力のある人間、そういったことで白羽の矢が立ったのがチェルノムイルジンさんだったというように聞いています。

D 反対に、解任されてもそれで関係が壊滅的にはならないんですか。私は、大体自分を解任した人間の特使になってまた行くというのは、何となくピンとこないんですけれども。

岸田 ソ連時代は、解任されたら終わりだったし、年金生活に入ったようなものだった。いわゆる解任というのは年金生活というような言い方をよくしていました。しかし、ロシアになって事情が変わり、今度首相になったステパーシンも、チェチェン紛争の直後に解任されているんですよ。彼は連邦保安局の長官だったのですが、彼も解任されて、しばらく下積みをやっていましたけれども、首相になった。チェルノムイルジンについても解任されて、本人自身もかなりぼやいた時期もあったんです。ただ、彼自身もソ連時代を長年生き残ってきた人物ですし、ここで一応ボスは誰か、権力をもっているのは誰か、これに逆らってどうなるかというのを計算する人ですから、表立って対決姿勢はとらない。そういったことから、チェルノムイルジンの起用というのも別におかしいことでもない。

D もう一つ、先ほど申し上げましたように私はロシアを担当したことがありませんが、今まさに国連をやっているものですから、国連の関係でロシアの政府の人間などと話していると、北朝鮮のことはミソカスなんです。これは中国の人間と話をしているのと全く違って、表からみている限り、少なくともロシアが北朝鮮との関係でいわゆる軍事援助みたいなことを、不拡散のことをやっているとはちょっと、私個人的には感じにくいです。

ただ、他方、私、昔中国のことを担当していたことがありますが、中国などで、これもすべては確認できないことが多く実際どうだったかよくわかりませんけれども、どうも、かなり高い可能性としてあったことは、政府自身の政策としていろいろな国への不拡散であるとかいうことを必ずしもやっているわけではない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION