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Tさんはもちろんグローバルな意味でも当然みていますが、日ロ双方にとっての重要性というのを考えながら両方の協調路線をとらなければいけないという主張でしょう。ですから、どっちが先かというのはまた難しい問題ですが、それは、当然グローバルな意味も、日ロ両方のバイラテラルの意味も両方ある。

それで、3番目のサハリンの問題ですが、ロシアでの認識は、もうほとんどサハリンは自分たちの領土で、議論の余地もないというとらえ方です。それで、ロシアの地図は当然自国の色で塗り尽くされているという感じです。ただ、外務省は公式にはもちろんサハリンはまだ帰属問題がはっきりしていないという立場であるんでしょうが、ただ、先ほど言った橋本さんの国境画定提案は、サハリンについては諦めましょうというか、サハリンについては国境はロシアの方にずらして、千島については択捉の北の方に引くといったことのようですので、ロシアとしては、むしろ北方4島の帰属問題に関心があるという感じです。

C 領土問題のことですが、先ほど質問のお答えの中で、中国との国境を画定させたときにはマスコミは必要以上には書かなかったけれども、日本のことになると騒ぐというのがあったんですが、その関心度の違いというのは何か歴史的な背景などがあってそういうふうになるんですか。

岸田 中国の場合は、学者の間でも、これは中国の領土なんだというような見解があったんです。さらに、中国がどちらかというと譲歩したんだというようなことを、外務省などは説明していました。

あの辺の国境については、入りくんでいて複雑で、日本のように島が4島の問題というような状態ではありません。学者、世論も騒がなかった。むしろ、学者は返還に対して、歴史的な面からもあれは中国のものだというような見解をとっていた。

ただ、日ロについては、学者の間でもよく新聞で議論されることがありますが、あれはロシアのものだというような意見も結構あります。日本寄りの論調が新聞に出たなと思うと、必ずその反論が出てきます。そういうように結構関心が高くて、まだまだ議論が煮詰まっていないといった点もあると思います。

D 私は外務省ですが、ロシアのことを担当したことがなく、全く素人です。そういう前提でちょっとお聞きしたいんです。コソボの問題で、チェルノムイルジンが特使になりました。まさに、私のように全くの素人からみると、自分が解任した首相を特使にするというのは、何かピンとこないんですね。ですから、チェルノムイルジンを特使に指名したということを、大体どういうふうに解釈すればよろしいんでしょうか。

 

 

 

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