ただ、今北朝鮮を助ける国というのはごく限られていますね、中国かロシアか。その2つは国際的な網でどの程度とらえられるかというのは、確かに曖昧な線があるので、ちょっとその判断はつきかねますけれども、かなり要注意だと思います。実際、ミサイル開発も着々と進めているし、先ほど出た米中へのスパイ疑惑とかそういったものもあります。ですから、その辺をかなり警戒して日本政府も対処していく必要はあるでしょうし、韓国が太陽政策を今やっていますけれども、それも食糧支援にしてもかなり慎重にする必要があるのではないかと思います。
B 2、3年前ですけれども、ウラジオストクで実際に見た話ですが、長い長い貨物列車が全部密閉された物を運んでいました。たまたまNHKの記者と一緒だったものですから調べたんですが、そうしたら、これは全部軍事物資でした。それはロシアではないんです。ほとんど中央アジアから運んでくる。つまり、ロシアと北朝鮮の間ではそんなに密接に軍事援助をするほどの関係に今ないということを、現地の人は言っていました。今度、新しい協定が結ばれたのでどうなるかわかりませんが、これは実際に私が見た話で、そういう意味では非常に高度の軍事技術援助が行われているというふうにはみられないと、私のほうは北朝鮮のウォッチャーが基本ですから、そういう立場からみるとそんな感じがします。
質問は2、3あります。
一つは、一部の新聞で、今度の組閣はエリツィンを外してやったというような情報が出ていますけれども、実際にそういうことが起きているのかどうなのか。これは、プリマコフの首を切るのとつながっているのかもしれませんけれども、大統領を外して組閣をするなどということがあるとすれば、非常に大変な問題。世界政治にとっても大変な問題ですので、その点をお聞きしたい。
それから、もう一つは日ロ関係ですが、先ほど、日ロ関係はなぜ改善に向かったかというお話をされたのですが、この3つの原則には私も賛成ですが、Tさんという方は外務省の方ですけれども、もともと反ロ的な立場の人だったと思います。しかし、なぜこの時期にそういうことの先べんを着けたかということについて、単なる日ロ関係ではなくて、むしろアメリカや中国に対する牽制の意味のほうが日本の外務省として強いのではないかという説がありますが、これを実際そういうふうに見ていいのかどうかです。ただ、Tさんがそういう役割をもったということについては、利権も絡んでいるという別な情報がモスクワあたりからくるものですから、これは実際モスクワのロシア人のジャーナリストなどから聞いておりますので、そのようなことがあるのかもしれないという感じもしますが、基本は日、中、米、ロ、あるいは朝鮮半島という全体の中での日本外交の現れというふうにみるのが正当なのかなという感じがします。