日本財団 図書館


それで、一説には、今回の年末に行われます下院選挙なども中止されるのではないかというような憶測も、現時点で流れ始めているようです。

それと、エリツィン大統領の健康問題。再選から一体何日間大統領はクレムリンにいたのか数えるほうが難しいぐらい、ほとんど病気で入院していたんですね。ただ、良い点はエリツィン大統領が病気で入院している間は結構国内は平穏で、エリツィンが健康になって戻ってくると何か悪さをし始める。実際、胃潰瘍で入院していたんですけれども、戻ってくるなりプリマコフを解任した。エリツィンは日本の天皇のように象徴的な存在で、しばらく中央病院に寝かしつけておいたほうがいいというような話まで出ているような状態です。

実際、エリツィンの健康問題がどうかというのはいろいろな説がありますし、主治医にしかわからないのですが、客観的な状態でみるとかなり悪い。顔の表情などもどんどん変わっていきます。急に太ったり、痩せたり、むくみが多くなったり、そういったような状態は肝臓なり内蔵にかなり大きな支障があるのではないかと言われていまして、いつエリツィンが倒れて、緊急に新たな大統領選挙が行われるというような状態になっても不思議ではないと思います。

今後のロシア政局をみる上で重要なのは、そういった不健康であるエリツィンが果して3選出馬するのか。エリツィン自身は自らの3選出馬を否定していて、プリマコフ解任までは3選出馬しないだろうとみられていた。3選出馬しないというのは、もともとロシア憲法は、大統領の3選出馬を禁止しております。実は、エリツィンは現在2選目なのかどうなのかという議論がありまして、新たなロシア憲法が施行されてから1回しか当選していないんだと、だから今度の選挙が2選目なんだといった議論などもあって、その辺を利用して、またエリツィン周辺が再選にもちかける、もしくは自らが権力を維持するために3選出馬する可能性もあると思います。

今後の大統領選挙がどうなるのかということをみる上で、96年の大統領選挙を振り返ってみたいと思います。この大統領選挙は、当時私も現地でカバーしていたので、かなり詳細に取材しましたが、このときは、エリツィン大統領を選ぶのか、もしくは共産党に政権を返すのかといった戦いでした。ですから、エリツィンが嫌いな人間でもエリツィンに投票した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION