それになりたいからということでメリーランドの芝生学科に行っているということでした。将来は6つの0がつく給料なのだそうです。
これは州立の大学教育において非常に実務の要請に近い社会の需要にこたえてやっていこうという部分で、これもアメリカのプラグマティズムの典型だろうと思っています。
もう一つ、ついでに言いますと、今、非常に問題なのは特許の問題です。科学技術の開発と大学と産業のかかわり、特許をめぐる問題ということです。きのうもNHKで特許の問題をやっていましたが、それを含めて最先端の産業をどういうふうに興していくかということの中で、高等研究機関というものの重要性があるわけです。それと産業がどういうふうに参入するのかということでの大きな議論があります。ここら辺も日本の場合非常に問題になるのだと思うのですけれども、科学技術研究費というものの配分に関して、その配分がどうなっているのかということは大きな政府の政策の一端であると思うのです。そこら辺で、アメリカの場合はナショナル・サイエンス・ファウンデーション(国立科学財団)というものが政府の科学研究開発の資金を牛耳っているわけですけれども、このナショナル・サイエンス・ファウンデーションというものがどういう方向を向いていくのか、そのアカウンタビリティというのが非常に重要な問題とされています。そのアカウンタビリティの中でみんなが関心を持っていて、そこでどういうお金が配分されているかということで、ナショナル・サイエンス・ファウンデーションのあり方、そのお金の配分の仕方、独立性それと大学と産業の関係、その辺りでものすごい議論を何十年も続けてきています。これも一つの政策形成の中で非常に重要な部分を占めています。
振り返って日本の場合、ある意味で最も大きな政府の研究費というのは政府から出ている文部省の科研費であるわけです。科研費くらいしか研究費というものはないわけですが、1200億円か何かの研究費を配分しているのは文部省です。私は一度、政策研究に関してどのくらい出ているのかと思って見たのですが、政策研究にはほとんど出ていません。社会科学も非常に少ないと思います。政策研究に出ていないのは、文部省が政策の評価などに研究費をつけるはずはないので当然だろうと思うのですが、ただ、その中で配分に学術振興会というものが大きな役割を果たしているようなのです。そこのアカウンタビリティというのは非常に大きな問題です。