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そういう意味で、日本のように全国一律にクオリティーをコントロールできているということが起こらない状況は問題であるので、バウチャーで逃げようというのは限界があると私は思っています。選択できればいいということではなくて、公立学校にお金を必要とするところはものすごく必要とするので、それには連邦政府のお金を入れる必要があるのではないかという感じがします。しかし、それも善し悪しで、問題は多いと思います。

ただ、そのことで思い出したのですが、チャータースクールというか、特定目的の学校をつくることが比較的自由にできるということがあります。数か月前にワシントンDCにおいて初めてハイスクールでパブリックポリシーを明瞭にうたった、パブリックポリシーを勉強させるハイスクールを作ってしまったのです。おもしろいなと思ったのですが、そんなに早くからパブリックポリシーを勉強させてどうなるかという感じはしないでもないけれども、ある意味で時代の流れを典型的に見せていると思うのです、すなわち、パブリックポリシーを理解する人間を増やしていかなければならない。特に、DCの場合、黒人、マイノリティーの学生が多いところなのですけれども、そのリーダー層を、パブリックポリシーということを理解していかれるような高校生を育てていくというつもりで、チャータースクールでパブリックポリシーを教えるという高校をつくったわけです。アーバンインスティテュートと性格的に全く反対側にあるヘリテイジ・ファンデーションとアーバンインスティテュートが合同でそこをサポートしていくということをやっているのもまたユニークです。

そんなことも含めて、アメリカというのは良いことだと思ったらやってしまい、失敗したら引くという意味で継続性がないことの可能性が大きいのですが、「いいからやっちゃえ」というところがとてもおもしろいところだと思います。

私の家庭に芝生があるのですが、芝生の手入れはとても大変です。でも芝生が汚いと隣近所から文句を言われます。というのも、ある意味で自分の家というものは自分の財産であると同時にコミュニティの財産価値に非常に関係するからなのですが、ある意味で私はパブリックな持ち物であると思っています。私なんかはくたびれ果てているから、自分で芝生の管理をやれず人を頼みます。学生アルバイトを頼んだのですが、彼がメリーランド大学の芝生学科の学生さんなのです。「芝生学科というものがあるの?」と、私はびっくりしました。彼は芝生学科の修士コースの学生だったわけです。どうして芝生学科というものが成り立つかというと、ゴルフ場の芝生を科学的な分析も含めて、どれだけよくできるかというのはものすごい給料を取れるスペシャリストなわけです。

 

 

 

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