それが可能ではないのだろうかということです。少なくとも公共政策系の大学や大学院に準ずるような形での政策情報資料センターのようなものを作りつつ、政策評価を研究プロジェクトとして立ち上げていくことによって、政策インフラ、知のインフラ、政策形成産業機構を少しでも整備することができないだろうかということを考えています。ぜひご意見を聞かせていただきたいと思います。
●教育と自治、ノンプロフィット
これまでの話は教育に直接にはかかわらなかったかもしれませんけれども、実は、私はアメリカ社会の強さの中にノン・プロフィットの教育が関わっていると思います。教育は基本的には国家統制によるものではありませんから、州及びコミュニティの責任として地方自治体が責任を持っています。それぞれの地域で教育を考え、パブリックスクールを市民が決めていくわけです。そういう教育体制の方に、ノン・プロフィットのハーバード大学をはじめとするトップエリートスクールと言われるところも含めて、私立のプライベートスクールというのは12%程度あります。全体のスクールの数でいえば1割くらい学校は民間のノン・プロフィットスクールで、国家権力及び国家機構の介入を認めません。ですから、すべて自由に決められる。6・3・3制であろうと、何であろうと自由な形で決めています。そこに、高等教育ももちろんですけれども、一切の公の介入を拒否してつくられています。その善し悪しはいろいろ議論がありますけれども、そこで彼らがやっていることは殊にリーダーシップを育てることです。民主主義社会のリーダーシップを育てることを非常に意識してつくられているプライベートスクールがたくさんあるといえます。彼らは、公の規制から離れて独立しており、インディペンデントスクールと言われ、認可はもちろんですけれども、火災報知機の設置以外は法の規制は受けていないと言われます。そういうプライベート・インディペンデント・スクールが非常に誇りを持ってアメリカ社会の教育に携わっています。これもアメリカの大きな特徴であります。
そういう中から、アメリカのリーダーとなる人たちが出てきます。もちろんパブリックスクールもリーダーシップを育てる、リーダーになる者、コミュニティで活動できる者、数学のできる者、スポーツのできる者、あらゆる分野でのリーダーシップを育てるということに非常に高い意識を持っているということがありますけれども、それを含めてパブリックな教育というものを地方自治体がそれぞれの独自の判断で行っています。