動き続けている。ものすごい振れを含みながら動き続けているということ、それが基本的なところであって、そこからいろいろなことが生まれているということを認識しておく必要があります。
では、今の日本が変わるために我々がどこからどう出発していったらいいのか、私はそこでどうするのか。私が10年来やってきたことはノン・プロフィットセクターを強化すること、ノン・プロフィットセクターを作っていくこと、市民社会というものを強力なものにしていくということです。今、日本で社会に大きなうねりができてきたということはすごくうれしいことですけれども、いまひとつそれが本当に社会の必要に間に合って機能するのかということに、私は多少疑問を持ちつつあります。それと同時に10年、20年のターゲットを絞ったとしても、いろいろな意味での教育のあり方、特に高等教育のあり方、小さいところからも含めてですけれども、教育のあり方にもっと違うものを持っていかなければならないと思います。
●公共投資と政策形成
でも、当面どうしたらいいのかということを考えて言えば、今いろいろな意味で公共事業投資、公共事業に膨大な刺激策として事業が始められています。それから、振興券なども含めていろいろなことを始めています。私は、今しなければならないことは、すべての今回やる公共事業などに関して、これは後で実際大蔵省の方にも伺いたいと思うのですが、すべての事業について1%を政策評価に回すことはできないのだろうかということです。この政策事業評価において、政府の外から、公共投資が本当に意味があるものなのか、どういう影響を与えるのか、それだけはきちんと押さえておく必要がある。それを民間が考えながら、一体この公共事業はどういう意味があるのかということを考えながら、その中で新しいビジョンづくり、日本の国のビジョンづくりをしていく必要があるのではないでしょうか。
それを具体的に言えば、やはり政府が自らの事業評価を外に発注することによって、外の政策形成力、政策評価力を高めつつ、かつ同時にビジョンづくりの土壌をつくっていく必要があるのではないかと思います。そういうことがあって、この公共投資の意味の重要性をきちんと測ることが、少なくとも将来の公共の負担というものをどう我々が処理して考えていったらいいかということを考える唯一のお金ではないかと思っているのです。