特に今、いろいろなレベルの公共体に企業マネジメントの感覚の必要性があるということ、マネジメントの手法の導入が必要だということがあって、大きなコンサルタント会社とかアカウンティングオフィス(会計事務所)から、会計関係の人間がポリシーメイキング(政策立案)にコンサルタントとしてかかわってきているという事実も含めて、相当大規模な数値計算などができる民間の営利シンクタンクコンサルタントというものも政策形成において無視できません。それに関連して、日本でも政策分析ネットワークが最近つくられて一つの出発点になったと思うのですが、アソシエーション・フォー・パブリックポリシーアナリシスアンドマネージメント(Association for Public Policy Analysis and Management)、APPAM(エイパム)と略していますけれども、公共政策分析経営協会というものがアメリカにあります。これは、20年ほど前になりますが、政策分析というのは純粋学問ではなく、応用科学というか、明らかに学問の情報を、学問における実績、蓄積を、国を治めること、社会を治めることに使おうという、それはアプライド(応用)されていくものであるから純粋学問とは違うという視点から設立されました。そういうポリシーアナリシスの振興を目指し、ある意味で政策分析評価産業の振興を目指し、それから専門性を確立しようとするのがAPPAMです。この組織がアメリカの政策産業を興すために果たした役割は非常に大きいと思います。ここに各政策領域のトップのアナリストから、学者から、シンクタンク、政府の機関、現在パブリックポリシーを学んでいる学生たちが一堂に会して、そこで今の問題、現在の政策の問題をどうやって解いていくのかということを考える共通の場がつくられたわけです。こうした組織があるということも含めて、アメリカの政策分析、政策形成の市場と産業が出来上がっているわけです。
私もまだこれで十分カバーしているとは思わないのですが、そういうインフラがあって、さらにユニークなのは、政策形成者、例えば政府が変わって大統領が変わるごとに、こういうデパートメントやエージェンシー、及びOMBから、ポリティカルアポインティー(political appointee)で人が入れ替わります。大統領の気に入った人間が異動してきます。彼ら、トップのポリシーアナリストたちがどんどん機関のトップに入り込んで、いろいろな政策を変えて実施します。その人材は民間の非営利の独立シンクタンクや大学、営利の企業からの場合もありますけれども、そういうポリシーアナリストといわれる人間が異動してくるわけです。ここのトップでやった人間が、大統領が変わるとシンクタンクに戻り、大学に戻る。