市場を簡単に言えば、顧客であり、クライアントであり、製品を需要している層と、スポンサーとしてお金を出している人たちがいる。ことに民間ノン・プロフィット財団が非常に大きな力を持っています。彼らがお金を出し、クライアントであり、かつスポンサーとなっています。また企業があり市民がいます。個々の市民も含めて需要者としてお金を出してもいる。顧客の需要者としてもう一つ、お金は出していないけれども、それを必要としている層がある。それはメディアであり、政治家であり、市民であり、学者・研究者や学生など、政策にかかわる人間、需要者です。顧客がある。その中で政策が生み出されています。
だれが生み出しているか、政策をつくっているか、形成しているかというと、一番大きいのはやはり公共セクターです。公共セクターの行政府、政府機関、国会、議会です。彼らは、政策をつくってそれを自分たちで施行するということにおいて、例えば、大蔵省にあたるOMBが年度予算をつくるという形で、政策の非常に基本的なところを押さえています。それから、各省(デパートメント)も政策をつくっています。エージェンシーもつくっています。彼らが政策をつくっていて、かつ重要なことは、特にここ30年来、1960年代後半から、「偉大なる社会」といわれる非常に大きな福祉政策をたくさんつくった時点から、その政策を評価することを自分自身に課し、それから外に対してもこの政策はどうだったか評価してほしいとして、自分たちが使うための政策であり、自分たちが行っている政策であるが、その政策の評価を外に発注するようになります。つまり、行政府は、供給者として政策をつくり、また、評価を発注することによって需要者としてその発注をもらい受けるという、両方の役割を果たすようになりました。
これは後で言いますけれども、政策研究に関して、1960年代の最初のころには、政策、事業、例えば一つの健康医療政策などの制度をつくった際に、その事業費用の1%から3%を政策評価に回すことを指定しています。これは非常に大きな意味があります。政策評価というものは、政策をいかに良いものにするかということにおいて非常に大きな役割を果たしています。政策をつくり、それを評価するということを組み合わせて、需要供給者としての行政体が政策形成をしていることが重要です。
一方、行政府の政策に対して、特に予算に対して、現在行われている政策に関して、立法府が独自の形成力を持ち、政策を監査し、それから政策を評価するという機能をもっています。そういう意味で立法府は独自のコングレッショナル・リサーチサービス(Congressional Research Service)、議会調査局といわれます。