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更新のシステムを取り込むことによって、日本は一つの変革ができるのではないかと考えているのです。だからアメリカを見てほしいと申し上げるわけです。日本には、アメリカ拒否、内政干渉してくれるなということ、アメリカ社会はあんなに問題だらけじゃないか、あの騒ぎは何だという、雰囲気としてアメリカ社会に対する批判というか、嫌悪というか、拒否というか、そういうものがあると思うのです。それはわかるのですけれども、その奥にあるものをちゃんと見ておいてください。そうでないと、我々が我々自身を更新する必要があるときに、そのほかを拒否してしまうと非常に危険だと考えるものですから、あえてアメリカの社会が動いている基本的なところを述べさせていただきたいと思います。

 

●アメリカの政策産業と市場

私は9年前、日本にノンプロフィット・セクターをという提案を行い、そしてノンプロフィット・セクターはどういうものかをビジュアルにしてみたのです。非常に単純な絵ですけれども、その当時、一番最初のこのインビジブルセクター(invisible sector)といわれるNPOをビジュアルに描いたのですが、それが非常によかったと思うので、今回もアメリカ社会の動いているものをビジュアルにしてみようと思ったのです。

これは、「アメリカにおける政策形成産業と市場 : 関連図」です。(巻末資料参照)突如としてアメリカの政策形成産業と市場というと抵抗があるかもしれませんが、私はアメリカの社会を動かしているものの中に政策があって、政策というものがパブリックグッズ(public goods)、コモングッズ(common goods)、人々の公共財産になっていると思います。公共財産が社会を変えていく非常に大きな要因です。政策によって社会は変えられる。もちろん政治過程が政策を決定します。その政治過程をどちらの方向に向けるかというのは政策によるわけです。その製品として政策分析と政策評価、政策形成をして、パブリックグッズを扱い、生み出し、それをいわば「商品」として扱う、その需要供給の市場があるということを示すのがこの図です。

こういう商品をだれがつくり、だれが需要しているか。公共パブリックグッズという政策は、実は需要があるからこそ供給があるのです。そういう産業と市場が成立しているというのがアメリカ社会の非常に顕著な特徴です。産業と市場がビジブルなものとして存在しています。

 

 

 

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