危機感の上で、私は日本の社会が今変わらなくてはいけないと本当に思うのですが、その変わるための切り口というか、その切り口の取り方について、私はここにしかないと思っていることがあります。そこでその危機感自体が間違っているのか、あるいはその切り口では無理なのか、変わらなくてはいけないということ自体が間違いなのか、その辺りのディスカッションを是非させていただきたいと思っております。それこそ、各界でご活躍の方々にご意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
まず、簡単に私がこれまでに何を申し上げてきたかをお話しさせていただきたいと思います。非常に伝えにくいことなのですが、今、日本が変わるためには、ポリシーというものを本気で作り直さなければいけないと思います。そのためにポリシーアナリシス(政策分析)が非常に重要であると思っています。そこを変えるためにどうしたらよいか。アメリカ社会が何をやっているか。アメリカ社会が一体何故に動いているか。私がアメリカのことを言うと、アメリカ社会がうまく動いているわけではないという批判や、アメリカにも問題がたくさんあるからアメリカの社会をモデルにするのは間違いだ、日本には日本の行き方があるはずだから、という批判があります。これらの批判に対して、アメリカ社会をモデルにしろと言っているわけではないということを私は申し上げます。アメリカ社会は非常にユニークであり、かつ、強さがあります。その強さの原点として、アメリカ社会には、社会の変革ができる、更新ができる、リニューアルできるシステムがあり、リニューアルをする人材を育て上げるシステムがあります。更新のシステムは、そこに更新を可能にするさまざまな人材と創造性と人間を生み出す源をつくっている。アメリカ社会はそういうシステムであり、最も重要なのは、更新の人材をたくさん育てあげているということです。その人材がそろってアメリカ社会を変えているという点にアメリカの特殊性があり、アメリカの特徴があり、アメリカ社会のすごさがあると思います。
私が言いたいのは、アメリカ社会のさまざまな局面に起こる問題をモデルにしろということではありません。その社会を持ってこいということではなくて、その社会がいろいろな問題を持ちつつも、更新しつつ変革が可能である、そのシステムを学んでおく必要があるということです。