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それと同時に、条約が成立した段階で日本政府も100億円の拠出を決めたわけですが、それ以外の欧米の国々もそういった拠出、地雷除去と被災者救済、この主に2点においてさまざまな援助をするという旨を発表しています。市民社会、とりわけNGOにおきまして重要なことは、こういった資金がきちんとそこの地雷被害地で暮らす人々の生活の向上につながるのか、地雷除去が果たしてきちんと進んでいくのか、そして地雷という問題がまさしく地雷を除去すればいいということではなくて、そこで持続的な開発ができるのか、そして例えば被害に遭った方が差別なくその社会に復帰できるのか、そうした方々のリハビリをどうするのか、社会保障をどうするのかといった本当にさまざまな側面で、取り組んでいく必要があるということです。本格的に取り組んでいかなければならないことですが、1年、2年という時間で問題が解決できるわけでもありません。

ICBLは先ほど急速に支持を広げたということを申し上げたんですが、それがゆえにと申しましょうか、まさしく逆に言いますと活動がどんどん衰退していく可能性も十分にあるわけです。条約ができた段階ですでに達成感が蔓延していた。今回はもう発効したということで、みんなのなかでやるだけやった、という気持ちがどこかに出てきているのではないかという感じもします。それは日本だけではなくて世界の現場でも言えることなのですが、問題はまさしくこれからで、先ほど申し上げたように条約そのものでは、何も変わらないわけですから、1つ1つ地雷を除去して、そして被災者のためにさまざまな社会復帰ですとかそういうプログラムを立てて、総合的な開発、持続可能な開発というものを目指していかなければいけない。そのために、負っている市民社会の責任というものは重いものがあると思います。

司会者 そろそろお時間となりました。本財団ではこういったセミナーを今後とも開催していきたいと思っておりますので、ぜひまた今後ともご参加いただきますようお願いいたします。

初めにも申し上げましたが、別室にて簡単なお茶のご用意をさせていただいておりますので、ぜひそちらにもご参加いただきまして、また話の続きをしていただければと思います。本日は本当にどうもありがとうございました。(拍手)

[文責事務局]

 

 

 

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