日本財団 図書館


これも私たちにとっては極めて特別の経験といいますか、総理大臣自ら電話をいただくというのは、NGOコミュニティーにとっては本当に経験のないことですし、少なくともそういうふうに何かイニシアチブをとってくれているということが分かり、非常に身近なものを感じたわけです。

それでその際に、「一度お話がしたい」というように総理のほうからご依頼がありましたので、こちらとしても「ぜひお願いします」ということで総理とお会いまして、20万人の署名も手渡しました。署名活動もずっと続けていたものですから。

その際に総理のほうから、「どうして批准にこんなに時間がかかるのか」と、同席された外務省の方に質問がありまして、それで「早く批准しなければもう間に合わないぞ」と指示がありました。その段階ですでに30数カ国批准されていたと思います。小渕総理も40カ国の中にぜひ入りたいということは公におっしゃっていましたので、そのように外務省の方も批准の手続きを進めたわけですが、残念ながら40カ国には入りませんでした。

ただ、昨年の9月30日の批准ですので、今年3月1日の発効時点から参加する第一陣グループには間に合いました。日本自身にとっても、3月1日から条約は発効することになったわけです。批准に際して、衆議院の安保委員会、外務委員会、そして商工委員会とこの3つの委員会で地雷に関してのいろいろな質疑応答があったわけですが、その過程におきましても我々は議員のところに行きまして、こういったことを質問してほしい、こういったことについて言質をとってほしいということも要請しました。

と申しますのは、批准の際に通過した日本の国内法は、全くオタワ条約とは掛け離れたものでして、地雷を全面的に廃棄するといったような文言はもちろんありませんし、廃棄に関しても一言も明記されていないんですね。ですから、これは政府の責任を追及するためには、ある程度国会の答弁において言質をとるしかないということで、積極的に働きかけました。それと同時に、これは政府の方からも、できる限りすべての党を回って、早期批准が妨害されないように根回しをしてほしいということも要請されまして、さまざまな政党にも働きかけました。

その結果、確か3回くらいの審議で、国内法が通過して条約を批准したんですが、本当に駆け込み批准であったがゆえに、逆に言いますと十分な審議がなされなかったというようなことも指摘されました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION