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まさしく小渕さんが外相になったのもそうですし、その後昨年の7月に総理になられたというのも非常に大きかったわけです。

それで、私たち地雷キャンペーンとしましては、先ほど申し上げたように条約が発効するのには40カ国の批准が必要なわけですが、日本政府もぜひこの最初の40カ国に入ってほしいということで、強くロビーといいますか、働きかけをしました。具体的には、外務省に行ってお話をしましたし、公開シンポジウムを開催して外務省や防衛庁の方をお呼びして、議論をするという場面がありました。また、地雷禁止のための議員連盟というのがございましたので、そこの議員の方々にいろいろ情報を流しながら、早期批准に向けて行動してほしいということでお願いしたりしてまいりました。

ところが、これも歴史的な偶然性で、非常に私たちにとってアンラッキーといいますかマイナスだったのは、インド、パキスタンによる核実験です。外務省のなかの地雷と核兵器を扱っている部署というのは同じところですから、「こんなときに地雷どころではない」というのが基本姿勢で、それはある意味では当然なわけです。ですから、地雷禁止条約の批准どころではなくなった。それが4月、5月の段階でした。

そして、外務省というか日本政府の姿勢としましては、40カ国はそんなに早くは批准されないだろう、国際条約の、ましてや軍縮条約の常識からすれば1、2年はかかるだろうとみられていたわけですね。ところがICBLは、批准キャンペーンというのを実施しまして、各国の市民社会に呼びかけて、どこが早く批准するか競争させたわけです。とにかく早く40カ国になるようにということで、1カ国でも増えますと今日お渡ししたEメールのようなかたちで、どの国が13番目に入った、14番目に入ったと連絡してきました。そんななかで、私たちもとにかく40カ国目に入りたいという気持ちをあおられていたわけです。そのくらい非常に巧みに批准競争をしまして、できれば早く批准してほしいと日本政府に働きかけたわけですが、政府としては当然もっと時間があるだろうと考えていたわけです。

ところが、昨年5月のインド、パキスタンの核実験で、非常にバタバタしてしまった。7月には新しい総理大臣が誕生したわけですから、そのときに今日ちょっと資料にお配りしたかと思いますが、「論壇」(朝日新聞)に投稿して、「早期に批准してください」ということで呼びかけました。それが去年の8月4日に新聞に出たんですが、そうしたら当日小渕総理から「私たちとしても一生懸命やっています」ということで電話をいただきました。

 

 

 

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