目加田 おっしゃるとおりリーダーシップというのは個人ではないんです。一番最初に少々申し上げたかと思いますが、ICBLというのは6つの団体が正式に発足させたわけです。この6つの団体の個別名は、ハンディキャップ・インターナショナルというフランスの団体、マインズ・アドバイザリー・グループというイギリスの団体、メディコ・インターナショアルというドイツの団体、ヒューマン・ライツ・ウオッチというアメリカの団体、ベトナム・ベテランズ・オブ・アメリカ財団というアメリカの団体です。それからもう1つがフィジシャンズ・フォー・ヒューマン・ライツという、やはり米国の団体です。
この6団体というのは、ベトナム・ベテランズ財団以外は今日においても非常に活発でして、そして運営委員会のなかでも中心的な役割を担っています。運営委員会と申し上げたのはステアリング・コミッティというもので、当初はこの6つの団体がステアリング・コミッティの会員になっておりまして、そしてそのコーディネーターとしてジョディー・ウイリアムズ氏を雇ったわけです。ところが、ICBLの活動がどんどん広がっていくに従いまして、どうも北の利益ばかりを代弁するようなNGOが多いのじゃないかというような批判も生まれてきました。と申しますのは、ICBLは北のNGOから始まったわけですが、被害国というのはほとんど南のわけで、だんだん南側のNGOが多数参加するようになったわけです。そこでこの運営委員会というのは当初6つだったわけですが、確か9団体、11団体と拡大していくんですね。その過程におきましてカンボジア・キャンペーンですとかアフガン・キャンペーン、それから南アフリカ・キャンペーンといったものが加盟していきました。
ですから、できる限り民主的な組織になるようにということで、努力していったわけです。ところが、おっしゃるとおりだんだん傘下に収まる団体が多くなってくれば、対立というのは、個人的なことから運動方針からと、いろいろ出てくるわけです。しかし、ICBLの場合非常に幸運だったのはアクスワージー外相がオタワ・プロセスを始めるという宣言をされました結果、条約の実現というものが本当に極めて現実的な目標となったことでした。その結果、ICBL内で対立が起きたときも、とにかく条約が成立するまでは「内部分裂に時間を費やすのはやめましょう」ということで、「内部対立問題は、あくまでも12月に調印が終わってからだ」というふうに問題を先送りできたわけです。