それでNGOのほうからしますと、外交問題について私たちの意見を取り入れてほしいということで再三にわたって要請してきた。それで、まさしく地雷の問題でもそうなんですが、最初は政府は全く耳を傾けてくれなかったとNGOの方々はおっしゃっています。
そういったなかで、徐々にNGO、市民社会が活動して、その実績を積み重ねていくことによって、政府も耳を傾けるようになっていったわけです。そこでパートナーシップについてですが、この外交政策の民主化という政策をカナダが採用するようになりましてから、カナダ政府の代表団にNGOが入ることは珍しくないようになりました。
これは以前にもあったことなんですが、環境問題ですとか、極めてNGOが専門知識を有用に活用できると思われた点については、NGOを代表団のなかに加えるということがあったわけですが、オタワ・プロセスのように軍縮問題ですとか、安全保障問題でNGOを入れるといったのは極めて画期的なことだったと言えると思います。
そして、こうしたNGOを政府代表団に入れることによって、最終的にその両者の関係というものは緊密になってきて、これはカナダの外交官の方がおっしゃっていたことですが、それまでは対立して話し合えない間柄だと思っていたが、実はそうではなかったと思うようになったそうです。本当に、協調してやっていけるんだということが分かった、それを学んだというのが非常に大きな収穫であった、とおっしゃっているわけです。ですから、NGOを政府代表団に取り入れることによって、政府のなかのNGOもしくは市民社会に対する理解というものが深められ、それが最終的に別のかたちで多くの市民社会と連帯していく、もしくは活動を連動させていくということにつながっているのではないかと思います。
B よろしいですか。ちょっと言葉の問題なんですが、市民社会という言葉をお使いになっているんですけれども、僕は耳のなかでNPOみたいに翻訳して聞いているんですが、なんか市民社会という言葉は歴史用語として意味がありますよね。なんかこういう言葉に進化していくようなイメージみたいなものがあるのでしょうか。
目加田 進化していくといいますか、市民社会というのは英語のシビル・ソサエティーを日本語にしますと市民社会ということで、本来はシビル・ソサエティーにそういった歴史的な意味合いはございませんで、通常、NGOやNPOと言わないでなぜ市民社会というかと言えば、NGOというのは多くの場合、グラスルーツの団体というものを指すケースが多いんです。