3. 質疑応答
司会者 どうもありがとうございました。ICBLの成功要因を地雷全面禁止条約の成立過程の流れとからめまして、具体的に分析し、そして明確にその特徴を指摘していただいたと思います。
そしてそこから、国際社会を変えていく新たなシステムとしての国を越えたシビルソサエティーの全体像というものを描写していただきました。最後にそこからみた日本の市民社会の成熟についての問題提起も、非常に重要な指摘をしていただいたと思っております。非常に示唆に富む内容でした。どうもありがとうございました。
皆さまのほうからたくさんご意見やご質問等もあるかと思いますので、ぜひご発言いただければと思います。では、どうぞ。
A 朝日新聞のAと申しますが、どうもありがとうございました。とてもいろいろ勉強になりました。1つ教えていただきたいんですが、カナダの場合に、NGOの人が政府に入ったり、政府に入って中から変えていくと、あるいはインパクトを及ぼしていくと、そういうものを含めた政府とNGOとのパートナーシップとか、そういうのをどういうふうに考えたらいいのかというのが教えていただきたいところです。
もう少し文脈を広げると、そもそも日本ではパートナーシップの組み方ですとか、現実はどうなのかというのがまずありますし、どういうかたちで形作っていくべきなのか。何かそのへんで教えていただければと思います。
目加田 カナダの場合は、オタワ・プロセスを牽引してきたということで、非常に市民社会と政府との関係、パートナーシップというものが緊密であり、長い伝統があると思われがちですが、それはちょっと間違っていまして、極めて最近の現象であります。
特に前マルルーニー政権のときには、カナダ政府は非常に親米政策をとっていたこともありまして、市民社会が外交問題に口を出すというようなことは考えられなかったとカナダのNGOが言っております。それが一変して、今のクレティエン政権では、外交政策の民主化、「デモクラタイゼーション・オブ・フォーリンポリシー」ということを推進しておりまして、NGOのみならず、各地域でタウン・ミーティングなどを開いております。市民レベル、コミュニティー・レベルですね。そうしたかたちで、多くの人たちと外交問題について話し合うという機会を多く設けています。
これは確か、クレティエン政権が93年以降ですので、まだまだ本当にごくごく最近のことであります。