さて、一番最初にちょっと申し上げたんですが、その他の諸問題へのオタワ・プロセスの応用性ということが、最近語られるようになってきました。カナダ政府がオタワで調印式を行った際、独自にアンケートを行いました。それは参加したNGO、マスメディア、外務省の職員、代表団といった方々に対して行ったわけですが、このオタワ・プロセスというものがその他の諸問題についても応用できるかどうか、どう思うかという意見を伺ったところ、その他の問題への応用性としては、小火器、それからチャイルド・ソルジャーといった問題で一番応用ができるのではないか、というふうに皆さん答えておられます。
私は個人的に核軍縮ということに関心をもっておりまして、そういった視点で昨年『世界』という雑誌に論文を書かせていただきました。先ほど申し上げましたように、核兵器と地雷は、兵器の性能のみならず、政治的手段として利用されているという視点においても全く異なります。言ってみれば雲泥の差があるわけですが、反省すべき点を挙げるとすると、先ほど申し上げましたとおり、政府のみならず、市民社会のなかですら悲観論が渦巻いていることだと思います。核問題では、政府に近いロビイストと草の根団体というものが全く対立して、その隔たりには非常に深いものがあります。
専門家集団と呼ばれる研究機関とボランティアを中心とした草の根活動、その双方ができる限りリソースを動員させることによって国際世論を盛り上げなければ、活動というのは成功しないわけですが、運動論やイデオロギー、そして活動方針といったことで対立を繰り返し、なかなか自分たちのエネルギーをポジティブな方向にもっていくことができていないというふうに言えます。
それで、今日取り上げた7つの特徴は、その他の問題に応用する際にも、非常に示唆に富んでいるのではないかと考えています。NGOがもっている専門性、そうしたものを国際的にネットワークを組んで、そして理解のある国々と連携しながら、問題の対処にあたるというのは、核やチャイルド・ソルジャーといった特定の問題に応用できるかできないかという視点を越えて、今後さまざまな国境を越えた問題に応用できるのではないかと考えています。