日本財団 図書館


たとえば、日本の地雷廃絶キャンペーンが立ち上がったのは97年の7月のことで、本当に誕生して間もないキャンペーンだというふうに言えます。ところが、ベルギー・キャンペーンですとかフランス・キャンペーンのように、非常に歴史の長いキャンペーンもあります。それらの国で政府に政策変更を求めて活動してきたわけですから、キャンペーンの経験の蓄積があるわけです。それで国際会議が開かれますと、ICBLはこういった新たに誕生するキャンペーン、日本キャンペーンとかコリアン・キャンペーンというようなキャンペーンを集めて、自分たちの活動の仕方、これまでの経験をすべて伝授するわけです。本当に事細かに手取り足取りの伝授です。メディアに対してどのようにプレスリリースを送ったらいいのか、そのタイミングはいつが一番いいのか、世論に働きかけるのはどういったタイミングが有り得るのか、その際非常に効果的な手法というものは何なのか、マスを動員させるためにはどういったアピールの仕方があるのか、といったことを本当に事細かに教えてくれるわけです。

そして政府に対して働きかける、つまりロビー活動についても同様でして、例えばICBLのほうから政府に対して何らかの抗議をするという案文が送られてくるわけです。宛て先と月日さえ書き込めばそのままどこにでも送られるというような、本当にすぐ使えるような情報ですとか、手紙、抗議文などを作成して配布してきました。

国際会議の場においても、先ほど申し上げましたように古いキャンペーンが新しいキャンペーンにいろんな手法を伝授するわけです。例えば日本なんかは特にそうなんですが、国際会議、政府間交渉に行きましても、実際に政府に対してどのようなロビー活動を行ったらいいかという経験がないものですから、なかなかうまくできない。そうすると、ICBLのジョディー・ウイリアムズ氏がやってきて、「もし慣れていないのであれば、私が一緒に行ってロビー活動をしてあげるから」と言って、ロビーの仕方まで、どのように政府に対して働きかければいいのか、政府の外交団、交渉団はこう言われると気分を害するけれども、こういう言い方だったら非常に乗ってくる、そこから対話の道が開ける、といったようなことまで本当に事細かに説明してくれました。同じ目的のために最大限みんなの力が発揮できるように、そのキャンペーンの運営、そしてやり方についてノウハウを共有しあってきたわけです。

これは皆さんからされますと、NGOだから当然だろう、お互いに協力するのは当然だろうというふうに思われるかもしれません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION