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去年の中間選挙でそのコンサーバティブな部分が負けたというようなことが言われて、その象徴的な例がギングリッジの退場だったと思います。

これはファンダーバークさんが悲観するリベラルなメディアによればですが、ブッシュ・ジュニアという人は穏健な人だということを聞いています。ファンダーバークさんのお話だと確かにそうで、必ずしもあまり好意的な評価をもっていらっしゃらないようですし、そのコンサーバティブ・ジレンマというのは解消されたのでしょうか。解消されたとすれば2000年で共和党は勝てるかもしれませんが、解消されていないとすれば共和党は勝てないかもしれない。

お話を聞いていると、選挙に勝つということには自信をもっていらっしゃるようですけれども、誰で勝つかということについては、もちろん選挙のことですから分かりませんが、はっきりした感触を、もう少しより分かりやすく、お話頂けませんか。

吉原 大変に核心をつく質問だったと思います。すぐにお答えいただけますでしょうか。少し時間をおきますか。私も、Bさんがご指摘になった「コントラクト・ウイズ・アメリカ」というものがいかに作られたのかというのは非常に重要なポイントだと考えています。これは、今まで選挙でなかなかまとまらなかった保守(コンサーバティズム)がまとまった「ニューディールの共和党版」みたいなもので、そこには宗教的なものは一切入っていません。100日後には「コントラクト・ウイズ・アメリカン・ファミリー(Contract with American Family,アメリカの家族との契約)」というものが出されています。保守がクリスチャン・コワリションを中心にまとめたものですが、これはほとんど報道されていないわけです。

小異を捨て大同についたのが94年の選挙で、その中核に彼らはあった。私はそういう仮説1つを立てて、92年のペローの選挙からずっと分析しているのですが、詳しくは申しませんが、どうもペローの選挙は「コントラクト・ウイズ・アメリカ」を作った当本人のフランク・ランツというのが、当時パット・ブキャナンの選挙対策参謀からペローの選挙参謀に移っているわけです。一度選挙の出馬をやめたペローのところにランツが移って、そして中間層の票をうまく分析し、「コントラクト・ウイズ・アメリカ」を作って94年に持ち込んだ。つまり94年の選挙で出てきた下院議員の方々というのは、今までの常識で、括弧付きの常識でみてはいけない共和党の方々なのだと思います。そういう前提で、彼らとずっと接触しておりまして、非常に面白い仮説をたくさん立てております。

 

 

 

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