それから民主、共和の政策の対立点、分岐点についてですが、それは確かに明確ではないかもしれません。弱者、障害者に対する政策についてですが、共和党というのは常に個人志向です。ですから、人を見る場合に、その集団を見るのではなくて必ず一人一人の人間だけを見るわけです。人には個人差があるのです。私自身の人生の経験からしましても、家には世界各地のいろんな民族の人が来ます。また、ヒスパニックあるいは黒人の個人個人を私は知っています。しかしだからといって、私はブラックパワーあるいはヒスパニック系パワーの支持者ではありません。それと同時に、障害を抱えている個々人のことも私は非常に懸念しているわけです。
ボブ・ドールは彼自身1つの障害を抱えてきた人間です。また、彼は日本に対しても非常に関心をもっている人物です。それと同時に我々の党の指導者でもあったわけですが、彼は皆さんが考えるより以上に共和党の見解を表した人間です。そういう意味で同じような考えをもっているわけです。我々共和党は個人個人を見て、その人をどう助けることができるか考えるわけです。この人はどこのグループに属しているのかを考えてそのグループの抱える問題に対処するという対応はしないのです。答えになりましたでしょうか。ありがとうございます。
B 私は2点ほどコメントや質問のようなものをしたいと思いますが、私はブッシュ政権からクリントン政権にかけた時期に日本政府にありまして、アメリカと交渉するという立場にあった者として、その時に得た印象から申し上げます。第1点は今のご質問にも関係しますが、共和党と民主党の政策の違いというのは、大きな政府対小さな政府といった基本的な考え方の違いはあるとは思いますが、実際にアメリカの政府と交渉する立場から見ますと、それほど大きな違いというのは感じることはありませんでした。
それは今のお話にもありましたけれども、確かにクリントン政権が共和党の政策をどんどん取り入れていった、さきほどはスティール(盗用)という言葉を使われましたし、竹中さんはハイジャックという言葉を使われましたけれども、いずれにせよ政策の具体的な違いというのはあまり大きくないわけです。にもかかわらず、あまりに対立的な、党派的な行動というのが共和党サイドからとられすぎてきているのではないかという印象があります。これが第1点であります。また、それは具体的にいえば、例えばその94年の中間選挙のあとに「コントラクト・ウイズ・アメリカ(Contract with America, アメリカとの契約)」というのを実施され、そこでは行政府は相手にしないでむしろ自分たちが直接国民との間で契約を結ぼうではないかという政策をお採りになりました。