ワシントン州シアトル選出の下院議員にしてみれば、ボーイング、あるいはマイクロソフト、ビル・ゲイツの会社を守りたいと思うようになるでしょう。これらの会社が競争を逃れ、ある程度保護のもとに置かれ、価格もあまり下がらないようにすることが大事だと思うでしょう。
例えば日本とアメリカの貿易関係に影響するような大きな法案を議会は通すことができます。日米の関係について、大統領は彼なりの目標をもっておりますが、議会のほうで大統領が公に言っていることとまったく相反するような法案を成立させているということもあります。ですから議会にはぜひご注目ください。大統領は閣僚を任命することができますし、判事の任命もできます。大使そのほか外交官の任命をすることもできます。しかし、任命することはできますが、議会のほうでそれが承認されなければなりません。特にこの場合、上院が大事になります。ちょうどレーガン大統領に私が任命されてアメリカの駐ルーマニア大使になりましたが、まず上院の外交委員会から、次に上院全体から承認されるというプロセスを通らなければなりませんでした。駐日大使のトム・フォーリーもそうです。共和党からすると、「確かにトム・フォーリーは下院の民主党のリーダーだった。しかし下院は現在民主党の支配下にはない。なぜ彼を送るのか」というような言い方をするかもしれませんが、通常の場合、議会は大統領の意向に沿うような承認をしております。
ここで、小さな政府がレーガン信奉者、保守にとって何を意味するのか申し上げますと、減税、規制の緩和、より自由な市場、民営化、財政収支の均衡、赤字減らしを意味し、また貿易収支の均衡をも意味します。ただあまり成功しておりませんが。また同時にアメリカ人がより規律をもって貯金をすべきだということも意味しますが、これもあまり成功しているとは思えません。日本人は平均で貯蓄率は30%といわれておりますので、世界のトップクラスですが、アメリカ人の場合は昨年の平均が0%でした。通常は4%、5%ぐらいですが、昨年の場合は貯蓄率は0でした。アメリカにも経済の問題がないわけではありません。
我々の目指しているものは、いつも成功しているというわけではありませんが、頑張ればいつかは成功できると考えております。我々は先ほど申しましたように地方分権を目指しております。ワシントンから権力を地方に分けていくということです。福祉にしても、教育にしても、そのほかのことにしても、ワシントンから州政府のレベルに移行させるということが大事であると考えております。一方民主党は大きな政府が好きです。官僚機構が好きです。官僚はアメリカの場合、大抵が民主党員です。ですから党員の仕事を守りたいという気持ちをもっています。