小原 2つ目のご質問のほうからなんですが、1年半後というふうに申し上げたのは、不良債権の問題とかがそれほど表面化しなくても、という意味で受け止めていただきたいのです。例えば、秋口からどうなるのかという景気の問題があるわけですが。特に景気が悪くなってきたと一番先に感じるのは銀行ですよね。銀行がいろいろな取引先との関係で察知していく。そうすると、銀行はすぐ貸出行動を引き締めると思うのです。金融再生委員会が何を言おうが、どう言おうが、もうあそこからは手を引いたほうがいい、どうしたこうしたということで、相当ミクロベースでいろいろな行動を始める。それが、今でももういろいろのデータの悪化に現れている。例えば、貸出の伸びも調整後でマイナスを続けているような状況です。
だから、私は景気に関して専門家ではないので、こういう席で悪くなるということは言えないのですが、専門家の方にそういうことを予想していただければ、それが引き金となって銀行がまたより一層ネガティブに行動することはかなり確実で、それがマクロ的にさらに助長された行動になるのではないかと言えるわけです。そうなってくると、期待で買われていた部分というのは確かにはげ落ちる。ですから、1万6,000円台というのは、もし期待がはげ落ちて悪いということになって、1万5,000円とか、あるいはそれ以下にまで下げることも想定されます。なかにはこの前の下値よりもっとさらに下にいくのではないかということを言っているストラテジスト、投資家もいます。
長銀が大変なことになったときのように、ああいう連鎖倒産とかそういったものになるかどうかは公的資金の枠があるなかでは分かりませんが、とりあえず株価的にはかなり下がるような局面もあるのではないかと思います。ですから、このような短期的なクラッシュをなんとか乗り越えたとしても、やはり1年〜1年半後というところに、またもっと根本的な問題が待っているのではないかという気がします。
それから、最初のお話ですが、私もCさんがいらっしゃるから言うのではないのですけれども、私が94年以降最初に勧めた銀行は三和銀行なんです。これはなぜかというと、5年ぐらい前ですが、三和銀行の役員の方しか私に会ってくれなかったのです。(笑) 会ったら非常にいいことをおっしゃっていたということで、やはりこれだというのが1つあります。それから、そのあとで住友もいろいろな問題を解決して、相当IRをよくしていったということで、住友、三和というのは、市場の誰もが認める有望な銀行です。三和銀行のほうが恐らくちょっとだけアピール力がないというか、遠慮されているというか、そういう点で少し株価に差が出てきているのではないかと思います。